大判例

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東京高等裁判所 平成8年(う)829号 判決

被告人 森坂光男

〔抄 録〕

ちなみに、原審記録によると、被告人は、原審第一回公判期日において本件公訴事実を全面的に認め、検察官が証拠として申請した尿の鑑定書等のすべてについて証拠とすることの同意がなされ、これら証拠の取調べが適法になされたことが明らかである。そして、所論のような論拠からこれらの証拠に証拠能力がない旨の主張は当審において初めてなされたのであるから、所論は記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われた事実以外の事実を援用するものというべきである。ところで、刑訴法三七九条の訴訟手続の法令違反を控訴理由として主張する場合にも同法三八二条の二の適用があるとしても、被告人の当審供述によれば、被告人が原審で右の主張をしなかったのは、傍聴席に関係警察官が居り、また、保護手続の意味が分からず、原審弁護人も真剣にこれを取り上げようとしなかったためであるというのであって、同条の「やむを得ない事由」があったとは到底認められないから、所論は、この点からも採用できないものである。

(小林充 山田利夫 多和田隆史)

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