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東京高等裁判所 平成8年(ネ)5361号 判決 1997年3月19日

横浜市旭区柏町五八-一番地

控訴人

河野禮通

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被控訴人

右代表者法務大臣

松浦功

右指定代理人

上武光夫

渡部義雄

田部井敏雄

木村忠夫

上田幸穂

山本善春

横浜市旭区二俣川一丁目二番地一ライオンズステーションプラザ二俣川三〇二号

被控訴人

渡部芳雄

主文

一  本件控訴をいずれも棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

一  控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人国は控訴人に対し、金二〇〇万円及びこれに対する平成五年一〇月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。被控訴人渡部芳雄は控訴人に対し、金九五万円及びこれに対する平成五年一〇月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。被控訴人渡部芳雄は控訴人に対し、金九五万円及びこれに対する平成五年一〇月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め(控訴人は、被控訴人国に対する請求については、当審において、一審段階における金一〇九五万円及びこれに対する平成五年一〇月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払えとの請求から前記請求に減縮する旨申立てたが、被控訴人国は右請求の減縮に同意しない旨述べた。)、被控訴人らは控訴棄却の判決を求めた。

二  本件の事案の概要は、原判決書二枚目表一〇行目「税務相談等に違法があったとして」を「税務相談等(右の中には平成二年分の所得税の減額更正処分において不服申立てができる旨の教示をしなかったことを含む。)において違法な行為があったとして」と改めるほかは、原判決「第二事案の概要」(原判決書二枚目表六行目から八行目表九行目まで)と同一であり、証拠関係は原審訴訟記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これらを引用する。

三  当裁判所も、(1) 石倉事務官の行った本件聴取は、国税訟務官室所属の大蔵事務官として所得税法二三四条一項の質問調査権に基づき適法になされたもので、なんら故意または過失に基づく違法な公権力の行使とはいえず、その他控訴人が主張する違法事由も本件証拠上認められず、したがって被控訴人国に対する請求は理由がなく、(2) 被控訴人渡部が本件聴取に応じたことについても司法書士法一一条(秘密保持義務)違反や同法一〇条(他人間の訴訟その他の事件に関与してはならない義務)違反に該当するものではなく、同被控訴人に対する請求も理由がないと判断する。

その理由は、原判決書「第三 当裁判所の判断」(原判決八枚目表一〇行目から一四枚目裏五行目まで)の記載と同一であるから、これを引用する。

四  そうすると、本件控訴はいずれも理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 荒井史男 裁判官 田村洋三 裁判官 豊田建夫)

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