大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成8年(行ケ)150号 判決 1997年5月28日

東京都文京区本郷3丁目27番15号

原告

株式会社サンエイ

代表者代表取締役

山崎尚重

訴訟代理人弁理士

西良久

鹿児島市千日町15番1号

被告

有限会社薩摩蒸氣屋

代表者代表取締役

山口学

訴訟代理人弁護士

佐藤成雄

同弁理士

鈴木正次

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、平成5年審判第21847号事件について、平成8年3月28日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、「かすたどん」の文字を横書きしてなり、第30類「菓子、パン」を指定商品とする登録第2163991号商標(昭和62年4月24日登録出願、平成元年8月31日設定登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。本件商標は、訴外株式会社プロデュースにじゅういち(以下「訴外会社」という。)が登録出願をし、設定登録を受けたものであって、原告は、平成6年10月6日に訴外会社から本件商標に係る商標権(以下「本件商標権」という。)を譲り受け、平成8年3月18日に移転登録を経由した。

被告は、平成5年11月17日、訴外会社を審判被請求人として、本件商標につき不使用に基づく登録取消の審判の請求をし(平成6年1月10日予告登録)、特許庁は、同請求を平成5年審判第21847号事件として審理したうえ、平成8年3月28日、「登録第2163991号商標の登録は、取り消す。」との審決をし、その謄本は、同年7月1日、訴外会社に送達された。

2  審決の理由の要旨

審決は、被請求人(訴外会社)主張の、本件商標権につき請求人(被告)に専用使用権を与えて使用させ、その使用料を企画・デザイン料として請求し受領したとの点について、商標権の使用許諾は契約でなされ、契約書を作成するのが通例であるにもかかわらず、被請求人提出の証拠を総合勘案するも、そのような契約がなされたものと認められず、使用許諾契約書等使用権を許諾したという証左もないから、上記主張は採用できないとし、また、被請求人主張の、本件商標の不使用には商標法50条2項但書の正当な理由があるとの点について、他人(請求人)が使用(本件商標の専用使用権に基づく使用ではない。)していることをもって使用していないことの正当の理由とすることはできないとし、その他、被請求人は、本件商標をその指定商品について本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたことを何ら立証、答弁せず、また使用しないことの正当な理由も存在しないから、本件商標の登録は、商標法50条の規定によりその登録を取り消すべきものであると、判断した。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

訴外会社自身が本件商標を使用していなかったことは認めるが、訴外会社は、本件商標が平成元年8月31日に設定登録されてから、被告に対し、本件商標権について通常使用権を許諾し、被告は、この通常使用権に基づいて、平成4年3月23日ころまで本件商標を使用していたのであって、この事実を認めなかった審決には、事実誤認の違法があり、取り消されるべきである。

1  訴外会社は、菓子店経営コンサルタント、パッケージデザインの企画製作等を業とする会社であって、中井八生男(以下「中井」という。)がその代表取締役を務めていたところ、訴外会社は、昭和61年9月ころ、被告(当時は株式会社月ヶ瀬製菓)から、経営の改善、店舗の活性化を依頼され、被告の店舗・商品につき基本コンセプトの設定、設計、企画、デザイン等を請け負う旨の契約(以下「本件コンサルタント契約」という。)をした。訴外会社は、本件コンサルタント契約に基づき、昭和62年4月1日付けで被告に提出した「新店舗の企画に関する報告書」(乙第7号証)中で、ブランド(店舗)名「薩摩蒸気屋」を提案し、また、そのころ中井が行ったプレゼンテーションにおいて、カスタードクリーム入蒸ケーキの製造販売の企画及びこれに使用する商標として「かすたどん」を提案して、その包装紙、包装箱、包装袋等パッケージデザインを企画・製作するとともに、採択された商標「かすたどん」(本件商標)、「蒸気屋」及び「蒸気庵」(以下、これら各商標を併せて「本件各商標」という。)につき、弁理士に依頼して、同一又は類似の商標の有無を調査したうえ、同月24日に登録出願を行い、平成元年8月31日にその設定登録を受けた。

そして、訴外会社は、被告との間で、被告に本件商標権の独占的な通常使用権を許諾する旨の合意をし、被告は、この通常使用権許諾に基づき本件商標を使用して上記ケーキの販売を行った。本件各商標についての出願及び登録を訴外会社がしたのは、被告の経済的事情により本件コンサルタント契約に基づく企画・デザイン料を低額とせざるをえなかったので、本件コンサルタント契約に基づいて採択された本件各商標の権利者を訴外会社とする旨の合意が訴外会社と被告との間でなされたことによるものであり、その使用権の対価は、本件コンサルタント契約の企画料に含まれるものとされた。上記通常使用権の設定及び使用権の対価の支払に関する合意については、特に書面は作成されず、訴外会社と被告との間の黙示の意思表示によってなされたが、通常使用権許諾は黙示の契約によってなされることをもって足りるものである。

その後、被告と訴外会社との間の信頼関係が失われ、訴外会社は平成4年3月23日付けの内容証明郵便で被告に対し本件商標の使用中止を求め、そのころ、上記通常使用権許諾契約は解除された。

2  被告は、本件商標権について通常使用権許諾契約が締結されたことを争い、「かすたどん」との標章は、被告代表者山口学(以下「山口」という。)らが昭和61年9月ころに中井の関与なく採用し、同年12月に訴外会社にその商標登録出願手続を依頼したものであって、平成元年12月ころに至って、訴外会社が本件商標の登録を受けたことを初めて知ったと主張する。

しかしながら、平成元年12月以降も、被告は、訴外会社の請求に応じて、平成2年1月10日に本件コンサルタント契約に基づく企画・デザイン料第4回分を、また同年3月30日には同第5回分を訴外会社に支払って、両者間の信頼関係を保っており、また、平成3年2月には、訴外会社が本件商標を広告に使用することにつき被告に問い合わせたのに対して、被告は、同月16日付けで自己が独占的に使用する地位にあることを前提としてこれを拒否する回答をしているのであるから、被告は、訴外会社が本件商標権者であって、被告が本件コンサルタント契約に基づき独占的にこれを使用することを了解していたものであり、訴外会社と被告との間に本件商標権の独占的な通常使用権許諾の合意が存在していたことは明らかである。

被告は、本件商標を昭和61年9月に採用し、同年12月に訴外会社にその登録出願手続を依頼したと主張するが、そうであれば、何故に、採用後直ちに自ら登録出願をせず、3か月も放置した後に訴外会社に登録出願を依頼したのかが明らかでないし、また、出願前に、同一又は類似の商標につき調査することは業界の常識であるが、被告はこれも行っていない。

被告は、昭和61年12月に第1回の企画料と本件各商標の登録出願手続費用とを併せて200万円を訴外会社に支払い、その支払に関する請求書に本件各商標の出願手続費用を含む旨の記載がなかったので、中井と打ち合せたうえで、上記請求書に出願手続費用を含む旨を書き込んだと主張するが、登録出願手続費用が200万円中のいくらであるかが明らかにされていないし、また、訴外会社が被告から第1回企画料の支払を受けたのは昭和62年5月29日であり、請求書の書込みは被告が訴外会社に無断で勝手にしたことである。

被告は、本件商標以外の「蒸気屋」及び「蒸気庵」についても、昭和61年12月に本件商標と併せて訴外会社に登録出願手続を依頼したとも主張するが、上記のとおり、「蒸気屋」は昭和62年4月1日付の「新店舗の企画に関する報告書」中で被告が提案したものであるから、上記主張が誤りであることは明らかである。

なお、被告は、昭和62年2月11日には「かすたどん」との標章を用いた包装紙等の製作を株式会社ヤナイパッケージに注文していたと主張するが、被告は、その包装紙がどのようなものであるか、どのような態様で何の商品に使用されたのかを明らかにしていない。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は正当であって、原告主張の審決取消事由は理由がない。

1  訴外会社と被告との間に、本件コンサルタント契約が締結されたことは認めるが、両者の間に本件商標についての使用許諾契約が締結された事実は、たとえ、黙示の意思表示によるものであるにせよ、存在しない。このことは、訴外会社の被告宛て平成4年3月23日付け内容証明郵便(乙第1号証)において、訴外会社自らが認めているところである。

2  「かすたどん」との標章は、昭和61年9月ころ、被告の代表者山口とその従業員とが協議して、蒸し菓子の商標として採用したものであって、中井はその採用に関与していない。

山口は、同年9月ころ、株式会社ヤナイパッケージから中井を紹介され、同年12月ころ、訴外会社に新店舗の企画・デザインを依頼した。その際、山口は、「かすたどん」並びにこれと同様に山口らが採用した「蒸気庵」及び「蒸気屋」の各標章について、新店舗で使用予定の商標として、その登録出願手続を訴外会社に依頼し、第1回の企画料に本件各商標登録出願手続費用を併せて200万円を訴外会社に支払った。もっとも、訴外会社が被告に対し、その支払に関する請求書を送付したのは昭和62年4月27日に至ってから、支払時に交付を受けていた仮領収書に代わる本領収書を送付したのは同年5月29日に至ってからであり、かつ、上記請求書には、請求額中に本件各商標の出願手続費用を含む旨の記載がなかったので、被告は、訴外会社代表者中井と打ち合せたうえで、上記請求書に出願手続費用を含む旨を書き込んだ。

ところが、訴外会社は、昭和62年4月24日に自己の名義で本件各商標の登録出願手続をし、平成元年9月31日に各設定登録を受けた。このことを被告が初めて知ったのは、同年12月ころに至ってからである。

被告は、訴外会社が本件各商標の登録出願手続をした昭和62年4月24日以前の同年2月11日には、「かすたどん」の標章を用いた菓子に関する包装紙等の製作を株式会社ヤナイパッケージに注文していた。

また、訴外会社は、山口から登録出願を依頼された本件各商標(「かすたどん」、「蒸気屋」及び「蒸気庵」)につき、そのまま自己名義で登録出願したが、被告は、この出願前に、被告において使用する標章を「かすたどん」及び「薩摩蒸氣屋」の2件に決め、これを使用している。仮に、原告主張の普通使用権許諾契約が締結されたのであれば、出願・登録された商標と使用される標章は一致するはずであるから、上記の事実は、上記各標章を山口らが採用し、使用開始したことを示している。

3  原告は、被告が平成元年12月以降も、訴外会社の請求に応じて、本件コンサルタント契約に基づく企画・デザイン料第4回分及び同第5回分を訴外会社に支払って、両者間の信頼関係を保っていたと主張するが、企画・デザイン料第4回分及び同第5回分の支払は、他店舗の企画に係るものであり、当時、訴外会社との間で本件商標権譲受けの交渉中であった。

原告は、何故被告が本件商標の登録出願手続を3か月放置した後に訴外会社に依頼したのかが明らかでないと主張するが、山口は、新店舗の企画・デザイン等をデザイナーに依頼する際には、そのデザイナーを介して新店舗で使用する新たな商標の登録出願をすることにしており、本件各商標についても、信頼する取引先の株式会社ヤナイパッケージの紹介により、訴外会社に新店舗の企画・デザインを依頼することになったのであるから、企画・デザインの概要報告を受ける前に、その登録出願を訴外会社に依頼したのであって、登録出願を放置していたわけではない。

訴外会社の昭和62年4月1日付の「新店舗の企画に関する報告書」には、ブランド(店舗)名を「薩摩蒸気屋」とすることについて、採択の理由などが記載されているところ、原告は、「薩摩蒸気屋」との店舗名は訴外会社が上記報告書で提案したものと主張する。しかし、「薩摩蒸氣屋」との名称は、昭和61年12月までに山口が月ヶ瀬製菓の従業員らと協議して決定しており、同月中井に対しその旨を説明済みであった。被告は、昭和62年4月1日以前から、新店舗の開店準備のための各種取引においては、「薩摩蒸氣屋」との名称を使用している。

第5  証拠

本件記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

第6  当裁判所の判断

1  契約締結時期が昭和61年9月か同年12月ころかの点を除き被告(当時は月ヶ瀬製菓)が訴外会社との間で、原告主張の内容の本件コンサルタント契約を締結したこと、被告が「かすたどん」との標章を使用してカスタードクリーム入蒸ケーキの製造販売をしていること、本件商標を含む本件各商標が訴外会社名義に商標登録されたことは、当事者間に争いがない。

そして、中井八生男作成の報告書(甲第8号証)及び証人中井八生男の証言中には、訴外会社が本件コンサルタント契約に基づき、カスタードクリーム入蒸ケーキの製造販売の企画及びこれに使用する商標として「かすたどん」を提案したこと、訴外会社は、被告の経済的事情により本件コンサルタント契約に基づく企画・デザイン料を低額とせざるをえなかったので、被告との間で、本件商標を含む本件各商標の権利者を訴外会社として、被告に独占的な通常使用権を許諾し、その使用権の対価は本件コンサルタント契約の企画料に含めるとの合意をし、被告は、この通常使用権許諾契約に基づき本件商標を使用して上記蒸ケーキの販売を行ったとの原告主張1に沿う記載部分及び供述部分がある。

また、訴外会社作成の「新店舗の企画に関する報告書」(原本の存在及び成立に争いのない乙第7号証)及び証人中井八生男の証言によれば、上記カスタードクリーム入蒸ケーキの製造販売の企画は、訴外会社が本件コンサルタント契約に基づいて提案したものであること、本件商標より生ずる「かすたどん」との称呼は、このカスタードクリーム入蒸ケーキの特徴に由来するものであることが認められ、このことからすれば、本件商標は、少なくとも本件コンサルタント契約の締結後に採用された事実を推認することができ、その時期は、石田惟幸作成の証明書(弁論の全趣旨により成立の真正を認め得る乙第3号証の2)により認められるところの、被告が株式会社ヤナイパッケージに「かすたどん」との標章を使用した商品の包装材を発注した昭和62年2月11日以前であると認められる。また、被告が、本件各商標が訴外会社名義で設定登録を受けたことを知った平成元年12月ころの後である平成2年3月まで、本件コンサルタント契約に基づく企画・デザイン料の支払を続けていたことは、被告も認めるところである。

2  ところで、被告が採用したカスタードクリーム入蒸ケーキの製造販売の企画は訴外会社が本件コンサルタント契約に基づき提案したものであり、仮に、原告主張のように、本件商標がこの蒸ケーキのために使用する商標として訴外会社が提案したものであるとしても、この提案を含む本件各商標を採用すべきであるとの訴外会社の提案は、上記本件コンサルタント契約の内容からして、本件商標を含む本件各商標がもっぱら被告において使用されるものであり、被告に帰属することが予定された提案であることは明らかである。

そして、本件コンサルタント契約は、訴外会社が被告から被告の経営の改善、店舗の活性化のために、その店舗・商品につき基本コンセプトの設定、設計、企画、デザイン等を請け負う趣旨のものであることは当事者間に争いがなく、その契約内容に鑑みれば、本件コンサルタント契約は、法律行為にあらざる事務の委託として準委任契約に該当するものと解すべきであるから、被告に帰属すべきものと予定されていた本件各商標につき、訴外会社が商標登録出願をするのであれば、それは、その準備のために商標登録の可能性につき弁理士に依頼して調査をすることを含め、被告に商標登録を得させるために行われるべきことは、民法656条で準用する同法646条の規定に照らし明らかというべきである。このことからすると、本件各商標についての出願及び登録を訴外会社名義でするのであれば、受任者としての訴外会社は委任者である被告に、その旨を十分に説明する義務があり、被告の明確な承諾をまってこれをなすべきことは、いやしくもコンサルタント業を営む訴外会社にとって、社会常識上、当然に知っていたことと認められる。

にもかかわらず、このような合意がされたことはもとより、この合意を前提とする原告主張の本件商標権の独占的通常使用権許諾契約について、契約書が作成されなかったことは原告の自認するところであり、また、前示訴外会社の作成の昭和62年4月1日付けの「新店舗の企画に関する報告書」(乙第7号証)には、その作成日付が、上記のとおり、すでに本件商標の採用が決定された後であって、かつ訴外会社による本件商標の商標登録出願前であるにもかかわらず、本件商標権の帰属についてのみならず、本件商標権の通常使用権許諾契約についても、何ら記載されていないことが認められる。さらに、訴外会社が被告に送付した本件コンサルタント契約に係る請求書(成立に争いのない甲第9~第11号証)には、本件各商標の登録後においても、その内容(請求額内訳)として、企画・デザイン契約料のほか、出張費やディスプレイツール代は掲記されているものの、本件各商標の使用料は企画・デザイン契約料の内書としても掲記されていないこと、訴外会社代理人弁護士が作成した平成4年3月23日付け内容証明郵便による被告宛ての通知書(乙第1号証)には、訴外会社がその登録名義を有する本件各商標について、被告に対し通常使用権・専用使用権ともに付与した事実はない旨明記されているが、証人中井八生男の証言によると、中井はその記載に格別違和感を覚えなかったこと、が認められる。

3  以上の事実に照らすと、前示中井八生男作成の報告書(甲第8号証)及び証人中井八生男の証言中の原告主張に沿う記載部分及び供述部分は直ちに信用することはできず、また、上記1で認定した各事実が存在するからといって、訴外会社と被告との間に、本件各商標の商標権者を訴外会社として、被告に独占的な通常使用権を許諾し、その使用権の対価は本件コンサルタント契約の企画料に含めるとの合意がなされたとの事実は、たとえ黙示の意思表示によるものであるにせよ、これを認めることはできない。

のみならず、訴外会社が被告を債務者として、平成5年9月14日に鹿児島地方裁判所に申し立てた本件各商標権に基づく商標権使用禁止仮処分申請事件につき、訴外会社代理人弁護士の作成した仮処分命令申立書(成立に争いのない乙第2号証)には、原告が本訴で主張する本件各商標の専用使用の許可は、平成2年3月末ころには全て終了したと記載されているのであって、これに従えば、仮に原告主張の使用権に基づき被告が本件商標を使用していたとしても、この使用権は、本件商標登録の取消の審判の請求の予告登録がされた平成6年1月10日よりも3年以上前にすでに終了していることになるのであって、このことからしても、被告が通常使用権に基づいて平成4年3月23日ころまで本件商標を使用していたとする原告の本訴における主張は、およそ採用できない。

4  以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由は理由がなく、他に審決にこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。

よって、原告の請求を理由がないものとして棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例