東京高等裁判所 平成9年(ラ)1341号 決定 1997年8月22日
抗告人 X1
抗告人 X2
右抗告人ら代理人弁護士 澤藤統一郎
同 山本政明
同 佐々木幸孝
同 千葉肇
同 林敏彦
相手方 株式会社東京三菱銀行
右代表者代表取締役 A
右代理人弁護士 溝呂木商太郎
主文
一 本件抗告をいずれも棄却する。
二 抗告費用は抗告人らの負担とする。
理由
一 本件抗告の趣旨は、原決定を取り消し、相手方は、原決定文書目録に表示された文書(以下「本件各文書」という。)を原裁判所に提出せよとの裁判を求めるというものであり、その理由は別紙のとおりである。
二 当裁判所も、本件各文書(融資稟議書及び認可決済書)は、いずれも銀行が融資を行う際の意思決定過程における文書で私企業内部の文書であることが明らかであり、法令によって作成を義務付けられているものではなく、これらを作成するかどうか及び作成後の処分(外部に発表するか否かの決定を含む。)も当該企業の自由意思に委ねられているものであって、本訴において抗告人らが主張している請求原因、銀行法一条等から窺知される銀行の公共的使命など、抗告人所論の諸点を考慮に入れても、民事訴訟法第三一二条三号後段のいわゆる法律関係文書には当たらないから、抗告人らの本件申立ては理由がないと判断する。
なお、右に述べたほかは原決定の理由説示中の「二 当裁判所の判断」の部分を引用する。
三 そうすると、本件抗告はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大島崇志 裁判官 寺尾洋 豊田建夫)