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東京高等裁判所 平成9年(行ケ)295号 判決 1999年2月17日

東京都目黒区碑文谷2丁目1番24号

原告

日本オリベッティ株式会社

代表者代表取締役

細野昌幸

訴訟代理人弁護士

鈴木修

那須健人

同弁理士

田中英夫

大阪市浪速区恵美須西2丁目8番19号

被告

株式会社テレシステムズ

代表者代表取締役

辻田政廣

訴訟代理人弁理士

小森久夫

主文

特許庁が、平成8年審判第18188号事件について、平成9年9月30日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

主文と同旨

2  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

被告は、名称を「自動ボウリングスコア装置」とする特許第1776216号発明(平成元年7月26日出願、平成4年10月15日出願公告、平成5年7月28日設定登録。以下「本件発明」という。)の特許権者である。

原告は、平成8年10月25日、本件発明につき、その特許を無効とする旨の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成8年審判第18188号事件として審理した上、平成9年9月30日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年10月29日、原告に送達された。

2  本件発明の要旨

各レーン毎に設けられたコンソールと、各コンソールに接続され、各コンソールとの間でデータ伝送を行うホストコンピュータと、投球後のピンの残留状態を検出する残留ピン検出手段と、を備え、前記コンソールは、前記残留ピン検出手段の検出結果からスコアを計数するスコア計数手段と、該スコア計数手段の計数結果を表示する表示器と、前記残留ピン検出手段の検出結果に応じて前記表示器に所定期間だけ別の遊戯を表示する遊戯表示手段と、該遊戯表示手段により表示された遊戯の遊戯結果をプレミアムデータとして記憶するプレミアムデータ記憶手段と、を備え、前記ホストコンピュータは、投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段を備えることを特徴とする、自動ボウリングスコア装置。

3  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、

(1)  本件発明が、<1>昭和60年9月、エーエムエフ株式会社発行の「アキュシステム」と題するシステム概説書(審決甲第1号証、本訴甲第2号証、以下「引用例1」という。)及び特開昭58-149782号公報(審決甲第2号証、本訴甲第3号証、以下「引用例2」という。)

に記載された発明(以下これらに記載された発明を、それぞれ「引用例発明1」及び「引用例発明2」という。)に基づいて、又は、<2>昭和63年4月20日、日本ボウリング場協会発行の機関紙「望リング」はる号(審決甲第3号証、本訴甲第4号証、以下「引用例3」という。)に記載された発明及び引用例発明2に基づいて、又は、<3>特開昭63-21081号公報(審決甲第4号証、本訴甲第5号証、以下「引用例4」という。)に記載された発明及び引用例発明2に基づいて、又は、<4>昭和62年4月3日発行の日刊工業新聞(審決甲第5号証、本訴甲第6号証、以下「引用例5」という。)及び昭和62年4月3日発行の日経産業新聞(審決甲第6号証、本訴甲第7号証、以下「引用例6」という。)に記載された発明並びに引用例発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるとする請求人(本訴原告)主張の無効理由(以下「無効理由1」という。)について、本件発明が、引用例1~6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないとし、

(2)  本件発明に係る明細書の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであることに適合していないので、特許法36条4項1号の規定を満たしてないから、これを無効にすべきであるとする請求人主張の無効理由(以下「無効理由2」という。)について、本件発明に係る明細書の特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであることに適合しないとすることはできないとし、

結局、本件特許を無効にすることはできないとしたものである。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、本件発明の要旨の認定、請求人(本訴原告)の無効理由1及び2の認定、引用例1~6の記載事項の認定、無効理由1についての判断の一部(審決書10頁7行~11頁7行、)、無効理由2についての判断の一部(同12頁18行~14頁1行、)は、いずれも認めるが、その余は争う。

審決は、無効理由1について、引用例発明1及び2の技術課題の認定を誤った(取消事由1)結果、本件発明の進歩性の判断を誤るとともに、無効理由2について、本件発明における「集計」の意味を誤認した(取消事由2)結果、特許法36条4項1号の判断を誤ったものであるから、違法として取り消されなければならない。

1  引用例発明1及び2の誤認(取消事由1)

審決が、「甲各号証には投球者にプレミアムサービスを提供するという技術的課題が存在しない」(審決書12頁1~2行)と判断したことは、誤りである。

なぜなら、引用例発明1(甲第2号証)には、レッドピンサービスという顧客に対するプレミアムサービスが開示されており、このレッドピンサービスとは、ボーリングの中のピンの中に赤く塗ったピンを1本まぜせておき、偶然この赤いピンが1番ピンの位置に置かれた状況でストライクを出すと、ボーリング場から景品がプレーヤーに与えられるというものであるから、このレッドピンが特定の位置あることと、投球の結果がストライクであったことによる景品の提供は、まさに本件発明にいうプレミアムサービスそのものである。

また、引用例発明2(甲第3号証)にも、ストライクやスペアが出た際にボーリングとは別の遊戯を表示する遊戯手段が記載されており、この遊戯の結果が、例えばデジタル表示部の全てが「7」という同じ文字を示している場合は、制御回路が駆動回路に信号を出力して表示ランプを点滅させると同時に回転灯を点灯させ、更にスピーカーから効果音を出力することが記載されている(同号証2頁右上欄17行~左下欄7行)。しかも、上記の構成により、従来のボーリングの機能に加え、「回転灯を点灯させた回数も新たに得点として競うことにより」「興趣に富んだボーリングゲームを遊戯し得る」と記載されている(同3頁左上欄10行~右上欄2行、左下欄3~11行)。

このように回転灯を点灯するという目立つ、場合によっては他のプレーヤーの妨げになりかねない演出を、単にプレーヤー間の競技のために行うということは極めて不自然であり、この回転灯の点灯及びスピーカーからの音声の出力という動作は、演出という目的とともに離れた場所からも容易に確認できるという効果を意図したものとみるのが相当である。そして、離れた場所からの容易な確認ということは、要するに、ボーリング場の従業員が容易に確認できるということにほかならない。

引用例発明1におけるレッドピンサービスも、ボーリング場従業員にレッドピンが1番ピンの位置にあることの確認を得た上で投球を行い、その結果ストライクであったことの確認を得てプレミアムサービスを受けることを行っていたわけであり、引用例発明2においても、同様にプレミアムサービスの提供を意図して上記のような動作を行っていると理解するのが、当業者にとって自然である。

以上のとおり、引用例発明1及び2に、顧客に対してプレミアムサービスを提供しようという技術課題が存在する以上、引用例発明1及び引用例3~6(甲第4~第7号証)に記載の自動ボーリンク装置において、引用例発明2のボーリングとは別の遊戯の結果をプレミアムサービスの提供に結び付ける手段として、その結果をスコアの記録集計に使用しているコンソールのコンピュータに記憶させることは極めて容易に想到し得るし、また、ゲームのスコアデータをホストコンピュータへ送るのと同様に、記憶させた当該別遊戯の結果のデータ(プレミアムデータ)を、ホストコンピュータに読み出させ、プレミアムサービスの提供のため集計させることも、極めて容易に想到しうるものというべきである。

したがって、審決が、引用例発明1及び2に、投球者にプレミアムサービスを提供するという技術的課題が存在しないことを前提として、「本件請求項1に係る発明の構成要件である、コンソール内の『遊技結果をプレミアムデータとして記憶するプレミアムデータ記憶手段』及びホストコンピュータ内の『投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段』を構成することは、当業者といえども容易ということはできない。」(審決書12頁3~11行)と判断したことも、誤りである。

以上のとおり、引用例発明1及び2において、プレミアムサービスの提供は、当然の技術課題とされており、不正の防止や任意の集計も、コンピュータシステムで行う以上付随して得られる当然の効果であるから、審決が述べる本件発明の効果(審決書11頁9~16行)は、本件発明に特有のものということはできず、この点に関する審決の判断も誤りである。

2  本件発明の誤認(取消事由2)

審決が、本件発明の実施例における「集計」の意味について、「『無料とされたゲームの数を集計する』のではなく、『コンソール内のゲーム数カウンタGCのデータ及び無料ゲーム数カウンタMCのデータ(プレミアムデータ)を受信して集め、ゲーム数カウンタGCの内容から無料ゲーム数カウンタMCの内容を差し引く計算を行う』ことを意味している」(審決書14頁11~17行)と認定した上、「特許請求の範囲の『各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する』との記載は、集計の態様が必ずしも明確であるとはいえないが、上記発明の詳細な説明の記載及び第5図Cを参照すれば、ホストコンピュータが各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する態様が明示されている」(審決書14頁18行~15頁5行)と判断したことは誤りである。

すなわち、本件発明の実施例を参照すると、ゲーム数カウンタGCに関しては、「ゲーム数カウンタGCはそのコンソールが管轄するレーンにおいて実行されたゲーム数を計数する」(甲第8号証3頁左欄13~15行)と記載され、ゲーム数カウンタGCがプレミアムデータ記憶手段とは記載されていないのに対し、無料ゲーム数カウンタMCに関しては、「プレミアムデータ記憶手段である無料ゲーム数カウンタMC」(同欄15~17行)と記載され、プレミアムデータ記憶手段であることが明確に開示されており、これらの記載から、本件発明においては、プレミアムデータ記憶手段に記憶されるのは、専ら無料ゲーム数力ウンタMCのデータ(すなわちプレミアムデータ)であって、ゲーム数GCのデータはこれに含まれない。

他方、本件発明の特許請求の範囲においては、ホストコンピュータは、「投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段を備える」とされており、ホストコンピュータが集計する対象は、プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータとなる。

そうすると、プレミアムデータ記憶手段に記憶されているものは、前記実施例の記載から明らかなように「無料ゲーム数カウンタMC」のデータであり、ゲーム数カウンタのデータを含めて解する余地は文理上全くないから、審決が、本件発明の特許請求の範囲における「集計」の意味を、発明の詳細な説明に記載された実施例と同様に、「ゲーム数カウンタGCの内容から無料ゲーム数カウンタMCの内容を差し引く計算を行う」と認定したことは誤りといわなければならない。

以上のように、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものに適合していないから、特許法36条4項1号の規定を満たすものとはいえない。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は、正当であって、原告主張の審決取消事由はいずれも理由がない。

1  取消事由1について

審決の「投球者にプレミアムサービスを提供する」の意義は、投球者にスコアに応じて別の遊技を行わせ、その結果を用いて投球者にプレミアムサービスを提供するということであり、このような技術的課題が引用例1~6(審決甲各号証)に示されていないとした、審決の認定に誤りはない。

すなわち、引用例1に、原告主張のとおり「レッドピンを倒したときにタオルなどの景品を出す」というレッドピンサービスが開示されていることは認めるが、引用例発明1は、レッドピンサービスに対応できるだけであって、それ自体レッドピンサービスとは関連がない。しかも、本件発明のように、ストライク等が出たときに所定期間だけ別の遊技を表示して、その遊技結果をプレミアムデータとして記憶するものではなく、投球者にスコアに応じて別の遊技を行わせ、その結果を用いて投球者にプレミアムサービスを提供することを課題とするものでもない。

また、引用例発明2は、表示手段の動作回数、回転灯の点灯、スピーカからの効果音の発生により、競技者が互いに点数を競うことができるということを唯一の目的、作用効果として示しているのであり、それ以外のプレミアムサービス等については何の記載もない。

そして、引用例発明2の目的、作用効果にプレミアムサービスに関する示唆がない以上、その構成において、回転灯の配置位置や回転灯の輝度(例えば、従業員が容易に視認できる位置に配置され、遠くから確認可能な輝度を持つ。)及びスピーカーの効果音の種類や大きさ(例えば、遠くの従業員が確認できるように周りの雑音と識別可能な特異で、大きな音を発するなど。)についての記載又は示唆がなければならないが、これらも記載されていない。

したがって、引用例発明2は、原告主張のように「回転灯の点灯やスピーカーからの効果音がボーリング場の従業員が容易に視認できるようになっている」とはいえないから、顧客にプレミアムサービスを提供することが技術的課題として示されているということはできない。

したがって、投球者にプレミアムサービスを提供するという技術的課題は、審決で認定されているように甲各号証には示されていないから、この点に関する審決の認定(審決書12頁1~11行)に、誤りはない。

2  取消事由2について

本件発明において、「ホストコンピュータが各コンソール毎のプレミアムデータを集計する」とは、プレミアムデーターを取り集めて計算処理を行うことを意味するのであり、実施例において、ホストコンピュータ側で行っている「ゲーム数カウンタGC-無料ゲーム数カウンタMC」の処理は、まさにプレミアムデータを取り集めて行う計算処理であるから、その処理が集計の一態様であることに何ら不明瞭な点はない。

すなわち、本件発明に係る明細書の実施例中、第3図及び第5図A~Cは、一人のプレーヤに対応しているが、第7~第10図では、プレーヤの数は複数人であることを前提としており、プレーヤの数が複数であれば、第5図に示す動作は、各プレーヤ毎に行われるのである。つまり、プレーヤ毎にゲーム数カウンタGC無料ゲーム数カウンタMC、フレームカウンタFC、投球カウンタSC、プラグFなどが割り当てられ、これらを利用しながら第5図の動作が行われていくのである。

その結果、ホストコンピュータにおいては、複数プレーヤの無料ゲーム数カウンタMCのデータが集められることとなるので、実施例でのGC-MCの計算は、GCとともにプレミアムデータであるMCも複数のプレーヤの数だけ集めた上で行われるから、結果としてMCの集計も行われることとなる。

したがって、この点に関する審決の認定(審決書14頁11~17行)に誤りはなく、本件発明に係る明細書の記載は、特許法36条4項1号の規定に反するものではない。

第5  当裁判所の判断

1  取消事由1(引用例発明1及び2の誤認)について

審決の理由中、本件発明の要旨の認定、請求人(本訴原告)の無効理由1及び2の認定、引用例1~6の記載事項の認定、無効理由1についての判断の一部(審決書10頁7行~11頁7行)は、当事者間に争いがない。

また、引用例1に、「レッドピンを倒したときにタオルなどの景品を出す」というレッドピンサービスが開示されており、引用例発明1が、レッドピンサービスに対応できるものであることも、当事者間に争いがない。

(1)  この引用例発明1について、引用例1(甲第2号証)には、「1.AMFアキュシステムとは 1984年AMFは世界で初めての完全カラーの自動式スコアリングシステム『アキュスコア』とコンピューター化されたボウリング事務管理システム「アキュトラック」とを結合したアキュシステムを開発し、ボウリングマーケットに大きな技術革新を起こしました。・・・これによってキャッシュ処理、ゲーム数の完全処理、リーグ戦及びボウラー管理等他のビジネスニードにも対応でき、今後のボウリングセンターの運営機能、顧客サービスをより合理的にかつ効率的に実現させます。」(同号証1頁1~14行)と記載され、従前の「AS-80」システムとの比較において、「アキュスコア」システムでは、ピンメンテナンスの項目(同号証17頁)において「レッドピンサービス企画は可能。」と記載される。

そうすると、引用例1には、コンピュータを利用したボウリングの自動式スコアリングシステムである引用例発明1が、「レッドピンを倒したときにタオルなどの景品を出す」というレッドピンサービスに対応できるものであることが開示されているものと認められる。

ところで、本件発明の特許請求の範囲においては、投球者に対する「プレミアムサービス」の具体的内容は特に限定されておらず、本件明細書(甲第8号証)には、「プレミアムとしては、1ゲーム分の無料サービス等があり、料金精算時に自動精算することが出来る。」(同号証2頁3欄35~37行)とだけ記載されている。これらの記載や技術常識に基づけば、本件発明における「プレミアムサービス」とは、遊技者が直接ボーリング場に対して利得を得るか否かに限定されず、ボーリング場から遊戯者である投球者に対して行われる無償の提供行為一般と解するのが相当であり、その1実施例として、1ゲーム分の無料サービス等が開示されているものと認められる。そして、上記レッドピンサービスも、ボーリング競技の内、レッドピンを倒したとの結果に基づいて、ボーリング場から投球者に対して、景品の授与という無償の提供行為が行われるものであるから、「レッドピンサービス」は、「プレミアムサービス」の1形態というべきものと認められる。

そうすると、引用例発明1は、プレミアムサービスであるレッドピンサービスに対応できる発明として開示されているものといわなければならない。

被告は、審決の「投球者にプレミアムサービスを提供する」の意義が、投球者にスコアに応じて別の遊技を行わせ、その結果を用いて投球者にプレミアムサービスを提供することであると主張し、引用例発明1が、投球者にスコアに応じて別の遊技を行わせ、その結果を用いて投球者にプレミアムサービスを提供することを課題とするものではないと主張する。

しかし、「プレミアムサービス」とは、前示のとおり、ボーリング場から投球者に対して行われる無償の提供行為一般と解するのが相当であり、特にその提供行為の原因を限定するものでない。被告の主張のように、「プレミアムサービス」の解釈について、「スコアに応じて別の遊技を行わせ、その結果を用いて」との事項を付加して解釈すべき根拠及び合理的理由は認められないから、被告の主張は、その前提において失当であり、これを採用する余地はない。

また、被告は、引用例発明1は、それ自体レッドピンサービスとは関連がないと主張する。

しかし、前示のとおり、引用例発明1は、プレミアムサービスであるレッドピンサービスに対応できる発明として開示されているのであるから、この被告の主張も、明らかに失当といわなければならない。

したがって、審決が、引用例発明1について、「投球者にプレミアムサービスを提供するという技術的課題が存在しない」(審決書12頁1~2行)と認定したことは、誤りというほかない。

(2)  引用例発明2について、引用例2(甲第3号証)には、「また、所定時間後に各デジタル表示部11a、11b、11c、11dがすべて「7」を表示した状態で連続表示を停止した場合には、制御回路15はその状態を検知して駆動回路17、18、19に信号を出力して表示ランプ10を点滅させると同時に前記回転灯8を点灯させ、さらにスピーカー14から所定の効果音を所定時間出力させるようになつている。」(同号証2頁右上欄17行~左下欄7行)、「従つて、このボーリングゲーム装置は遊戯者がストライクを獲得した場合にはストライク検出手段からの出力信号に基づいて表示装置のデジタル表示部の作動が開始され、所定時間後にそのデジタル表示部が所定の確率ですべて「7」を表示した状態で停止して回転灯等が作動されるので、倒れたピンの本数に基づく得点を競う従来のボーリングゲームの機能に加え、回転灯を点灯させた回数も新たな得点として競うことができる。」(同3頁左上欄10行~右上欄2行)と記載される。

これらの記載によれば、引用例発明2では、得点を競うボーリングゲーム遊戯者に対して、投球結果に応じて別遊戯を行わせ、更にその遊戯結果に応じて、表示灯の点滅、回転灯の点灯、スピーカからの効果音の発生が可能となり、この回転灯の点灯等の回数も新たな得点として競うことができるという無償のサービスが提供されるものと認められる。

そうすると、引用例発明2に開示される、ボーリング場から遊技者に提供された回転灯の点灯等の無償のサービスは、それによって遊技者が直接ボーリング場に対して利得を得るものでないとしても、ボーリング場からボーリング遊技者に無償で提供される点において、前示のとおり、本件発明におけるプレミアムサービスの1形態というべきものと認められる。

被告は、引用例発明2が、表示手段の動作回数、回転灯の点灯、スピーカからの効果音の発生により、競技者が互いに点数を競うことができるということを唯一の目的、作用効果としており、それ以外のプレミアムサービス等については記載がないと主張する。

しかし、本件発明における「プレミアムサービス」とは、前示のとおり、ボーリング場から遊戯者である投球者に対して行われる無償の提供行為一般と解するのが相当であるから、上記の表示手段の動作回数、回転灯の点灯、スピーカからの効果音の発生により、競技者が互いに点数を競うことができること自体が、プレミアムサービスに該当するものというべきであり、被告の主張は、明らかに失当といわなければならない。

したがって、審決が、引用例発明2について、「投球者にプレミアムサービスを提供するという技術的課題が存在しない」(審決書12頁1~2行)と認定したことも、誤りというほかない。

(3)  以上のとおり、審決は、引用例発明1及び2の技術課題の認定を誤り、その誤認に基づいて、「本件請求項1に係る発明の構成要件である、コンソール内の『遊技結果をプレミアムデータとして記憶するプレミアムデータ記憶手段』及びホストコンピュータ内の『投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段』を構成することは、当業者といえども容易ということはできない。」(審決書12頁3~11行)として、本件発明が進歩性を有する旨の判断を行ったものであるから、原告主張の取消事由1には理由がある。

2  以上のとおり、審決は、引用例発明1及び2の技術課題認定をいずれも誤り、それに基づいて本件発明の進歩性の判断を行ったものであるところ、これらの誤りは、審決の結論に影響を及ぼす重大な瑕疵であるから、その余の原告主張の取消事由について検討するまでもなく、審決は、取消しを免れない。

よって、原告の本訴請求は理由があるから、これを認容することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中康久 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

平成8年審判第18188号

審決

東京都目黒区碑文谷2丁目1番24号

請求人 日本オリベッティ株式会社

東京都千代田区大手町2丁目2番1号 新大手町ビル206区 湯浅法律特許事務所

代理人弁理士 湯浅恭三

東京都千代田区大手町2丁目2番1号 新大手町ビル206区 湯浅法律特許事務所

代理人弁理士 社本一夫

東京都千代田区大手町2丁目2番1号 新大手町ビル206区 湯浅・原法律特許事務所

代理人弁理士 小林泰

東京都千代田区大手町2丁目2番1号 新大手町ビル206区 湯浅・原法律特許事務所

代理人弁理士 田中英夫

東京都千代田区大手町2丁目2番1号 新大手町ビル206区

代理人弁護士 鈴木修

東京都千代田区大手町2丁目2番1号 新大手町ビル206区

代理人弁護士 城山康文

大阪府大阪市浪速区恵美須西2丁目8番19号

被請求人 株式会社テレシステムズ

大阪府大阪市中央区谷町3丁目2番11号 フラッグスビル3階 小森特許事務所

代理人弁理士 小森久夫

上記当事者間の特許第1776216発明「自動ボウリングスコア装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

本件審判請求は、成り立たない。

審判費用は、請求人の負担とする。

理由

1.手続の経緯・本件発明

本件特許第1776216号の請求項1に係る発明(平成1年7月26日出願、平成5年7月28日設定登録)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「各レーン毎に設けられたコンソールと、各コンソールに接続され、各コンソールとの間でデータ伝送を行うホストコンピュータと、投球後のピンの残留状態を検出する残留ピン検出手段と、を備え、前記コンソールは、前記残留ピン検出手段の検出結果からスコアを計数するスコア計数手段と、該スコア計数手段の計数結果を表示する表示器と、前記残留ピン検出手段の検出結果に応じて前記表示器に所定期間だけ別の遊戯を表示する遊戯表示手段と、該遊戯表示手段により表示された遊戯の遊戯結果をプレミアムデータとして記憶するプレミアムデータ記憶手段と、を備え、前記ホストコンピュータは、投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段を備えることを特徴とする、自動ボウリングスコア装置。」

2.請求人の主張

これに対して、請求人日本オリベッティ株式会社は、証拠方法として甲第1号証乃至甲第6号証を提出し、本件特許の請求項1に係る発明は、a.甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、又は、b.甲第3号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、又は、c.甲第4号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、又は、d.甲第5号証、甲第6号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件特許発明に係る明細書の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであることに適合していないので、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていない旨主張している。

3.特許法第29条第2項について

<1>甲第1号証乃至甲第6号証

甲第1号証([アキュシステム]の題名のシステム概説書(昭和60年9月、エーエムエフ株式会社発行)には、「3.システムの各装置とその概要(1)アキュスコアのコンポーネント(a)オーバーヘッドモニター 8つの多色フォーマットにより標準のスコアリングで解像度の高いグラフィックを映しだしフロントから切りかえられるビデオ放映の1対の25インチのカラーディスプレイー装置です。(b)ボウラーコンソール コンパクトでキーボードはタイプライター配列になっていて名前等のインプットができる単一のタッチボードを備えています。ユーザーに親切な説明によってボウラーはサインインやスコアリング、訂正の各機能を使いこなすことができます。・・・(d)アコースティックピンセンサー AMF独自の方式によるこのアコースティックピンセンサーは他社のピンカウントシステムと比較してはるかに正確にカウントします。ちょうどソナー(水中音波探知機)と同じ原因で超音波信号を発する仕組みになっています。(2)アキュデスクのコンポーネント(a)アキュデスクフロントターミナル グッドデザイン賞を受賞したコンパクトなテレビキーボードが一緒になったインテリジェントターミナルといわれるコンピューターの端末機です。・・・(c)マイクロPDP11コンピューター 小型で場所をとらず机の横にも簡単に設置できるミニコンピューターです。信頼性が高く高性能にできた複雑なアキユスコアのデータや制御を処理するアキュデスクの心臓部にあたるものです。」(第5頁)と記載されており、甲第2号証(特開昭58-149782号公報)には、「ストライク検出手段(S2)またはスペア検出手段(S1、S3)の出力に基づいて複数桁のデジタル表示部(11a、11b、11c、11d)に数字を、所定時間乱数表示させる制御回路(15)と、そのデジタル表示部(11a、11b、11c、11d)の各桁の数字が予め設定された所定の数で停止されたとき作動される表示手段(8、10、14)とを設けたことを特徴とするボーリングゲーム装置。」(特許請求の範囲)、「従って、このボーリングゲーム装置は遊戯者ストライクを獲得した場合にはストライク検出手段S2からの出力信号に基づいて表示装置6のデジタル表示部11a、11b、11c、11dの作動が開始され、所定時間後にそのデジタル表示部11a、11b、11c、11dが所定の確率ですべて「7」を表示した状態で停止して回転灯8等が作動されるので、倒れたピンの本数に基づく得点を競う従来のボーリングゲームの機能に加え、回転灯8を点灯させた回数も新たな得点として競うことができる。」(公報第3頁左上欄第10行~右上欄第2行)と記載されており、甲第3号証(日本ボウリング場協会機関紙「望リング」はる号(昭和63年4月20日発行))には、「オリベッティ社AL3000コンピューター・ボウリングシステムについて・・・コンピューターの源は、オリベッティ3530(以下DP)、フロントコントローラー(以下FC)、お客様のスコアテープル(以下A/L)、オリベッティ・シリアルプリンター(以下WP)、これらがAL3000の主な名称です。・・・働きはDP/Wpシステムでは、ゲームを実行させるためのコントロール部分と、データ保管部を受け持ち、個々のサブ・システムとして、ゲーム受付処理、精算処理、個人別スコアシート作成、レーンチェンジ、プレーヤー追加削除、ゲーム終了、スコア修正、大会管理、顧客管理、販促システムがあります。FCシステムは、DPとA/Lを持続するデータ送受信コントロールを行い、また、レーン使用状態を把握し画面表示をします。・・・A/Sシステムは、ゲーム実行に関する処理を行います。それにはプレーヤー登録、スコア表示、アメリカン方式のゲーム・コントロール、各種マークの表示、スコア修正等の機能があります。・・・ピンセンシングは、カメラによる映像処理を採用しており、ピンアクションを見ることができます。」(第10頁)と記載されており、甲第4号証(特開昭63-21081号公報)には、「本発明はボーリングゲーム装置においてプレーヤーのフォームやピンアクションをディスプレイ上に表示するとともに、自動的にスコアリングを行う装置に関する。」(公報第1頁左欄第19行~右欄第2行)、「残りピンの計測は、あらかじめ各ピンに対応して決定しておいたビデオRAM座標のデータから各ピンの有無を判定する。またピンがピンアクションにより所定の位置よりずれた場合も考慮し、測定座標は一つのピンに一定範囲内に複数箇所設定する。測定は1ピンより10ピンまで行い、残りピンを求める。この画像解析の結果得られた残りピン数を基にスコア計算を行い、その結果をディスプレイに表示する。」(公報第2頁右上欄第17行~左下欄第5行)「プレーの前にはCM、イメージビデオなどを放映でき、ゲーム中でもストライク時などに特別の画面をだすことも出来る。・・・他の上位コンピュータにスコアを送信することにより大会の順位等も自動的に行うことが出来る。」(公報第2頁右下欄第17行~第3頁左上欄第6行)と記載されており、甲第5号証(日刊工業新聞(昭和62年4月3日発行))には、「日本オリベッティ・・・は、・・・コンピューター・ボウリング・システム「オートレーンAL-3000=写真」を完成、三日から発売する。・・・「オリベッティDP3530」分散処理コンピューターを中核に、レーン、フロント、オフィスに設置するワークステイションやAVコンピユーター、CCDカメラなどをオンラインで接続した。とくにオンライン接続でのトラブルを避けるためインテリジェントボード方式を採用、データ伝送、スコアカウント、各機器間のインターフェースなどの処理目的ごとに専用ボード化し、負荷の分散と処理の効率化を図っている。」と記載されており、甲第6号証(日経産業新聞(昭和62年4月3日発行))には、日本オリベッティ・・・は三日から、ボウリング場のデータ処理を一元管理できるコンピューターシステム「オートレーンAL3000」の販売を始める。レーンや受付カウンター、事務所に設置した端末機をオンライン接続、スコア計算から会員情報管理、売上高分析まで簡単な操作で自動的にできるようにした。」と記載されている。

<2>対比・判断

そこで、本件請求項1に係る発明と甲各号証に記載された発明とを対比すると、甲第1号証、甲第3号証乃至甲第6号証には、自動ボウリングスコア装置が記載され、ストライクやスペアがでた時にスコア以外のマーク等の特別の画面を表示することは記載されているが、本件請求項1に係る発明の構成要件である「残留ピンの検出結果に応じて別の遊戯を表示する遊戯表示手段」については記載されていないし、示唆されてもいない。また、甲第2号証には、スドライクまたはスペアがでたときに別の遊戯を表示する遊戯手段について記載されているが、該遊戯は回転灯等が作動されるのみであって、本件請求項1に係る発明の構成要件である、コンソール内の「遊戯結果をプレミアムデータとして記憶するプレミアムデータ記憶手段」及びホストコンピュータ内の「投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段」については記載されていないし、示唆されてもいない。そして、本件請求項1に係る発明は上記構成要件を備えることにより、特許明細書に記載の「ボーリングゲーム結果と遊戯結果によるボーリング場等からのプレミアムサービスを各プレイヤーが期待出来るようになり、しかも、その遊戯の結果はホストコンピュータにロードされるから不正が生じることが全くなく、また、ホスト側において全レーン分のデータを任意のときに容易に収集することが出来る」という作用効果を奏するものである。したがって、甲第1号証、甲第3号証乃至甲第6号証に記載された、自動ボウリングスコア装置に、甲第2号証に記載された、ストライクまたはスペアがでたときに別の遊戯を表示する遊戯手段に関する技術を適用しても、甲各号証には投球者にプレミアムサービスを提供するという技術的課題が存在しないので、本件請求項1に係る発明の構成要件である、コンソール内の「遊戯結果をプレミアムデータとして記憶するプレミアムデータ記憶手段」及びホストコンピュータ内の「投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段」を構成することは、当業者といえども容易ということはできない。

<3>結論

したがって、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.特許法第36条第4項第1号について

<1>請求人の主張の概要は、本件特許明細書の特許請求の範囲には、「ホストコンピュータは、投球者に対するプレミアムサービスを提供するために前記プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する手段を備える」と記載されているが、発明の詳細な説明には、ホストコンピュータの動作について、「以上のような処理により競技が終了すると、競技者による終了キーの操作によりコンソール内のデータがフロントのホストコンピュータ20に送信される。フロントではゲーム数カウンタGCの内容から無料ゲーム数カウンタMCの内容を差し引いた分のゲーム数について料金が請求されることとなり、スロットマシンゲーム処理によってボウリングゲーム料金を安くするサービスを顧客に与えることができる。第5図Cは以上のホストコンピュータ20での動作を示している。」との記載があるのみであり、第5図Cを見ても、ホストコンピュータは無料とされたゲームの数を集計していないので、ホストコンピュータはプレミアムデータを集計しておらず、特許請求の範囲に記載された特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されていない、というものである。

<2>しかしながら、上記記載及び第5図Cを参照すれば、ホストコンピュータは、終了キーの操作によりコンソール内のゲーム数カウンタGCのデータ及び無料ゲーム数カウンタMCのデータを受信し、ゲーム数カウンタGCの内容から無料ゲーム数カウンタMCの内容を差し引く計算を行っており、プレミアムデータ記憶手段に記憶されている各コンソール毎のプレミアムデータを読み出して集計している。ここにおいて、集計とは、請求人のいう「無料とされたゲームの数を集計」するのではなく、「コンソール内のゲーム数カウンタGCのデータ及び無料ゲーム数カウンタMCのデータ(プレミアムデータ)を受信して集め、ゲーム数カウンタGCの内容から無料ゲーム数カウンタMCの内容を差し引く計算を行う」ことを意味している。

<3>そして、特許請求の範囲の「各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する」との記載は、集計の態様が必ずしも明確であるとはいえないが、上記発明の詳細な説明の記載及び第5図Cを参照すれば、ホストコンピュータが各コンソール毎のプレミアムデータを所定のタイミングに読み出して集計する態様が明示されているので、本件特許発明に係る明細書の特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであることに適合しないとすることはできない。

5.むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1に係る発明の特許を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

平成9年9月30日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

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