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東京高等裁判所 平成11(行コ)133 行政事件裁判例

主 文

一 本件控訴をいずれも棄却する。

二 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一 当事者の求めた裁判

一 控訴人

1 原判決を取り消す。

2 控訴人と被控訴人鎌倉市長Aとの間において、神奈川県知事が建築基準法施行

細則(昭和二五年一一月二三日施行の神奈川県規則第一○四号)八条をもってした

建築基準法四二条二項所定の包括的道路指定処分が原判決別紙物件目録(一)記載

の土地を対象とするものではないことを確認する。

3 控訴人と被控訴人鎌倉市長Aとの間において、神奈川県知事が昭和三三年七月

一五日神奈川県告示第四七二号をもってした建築基準法四二条一項五号所定の道路

位置指定処分が原判決別紙物件目録(二)記載の土地を対象とするものではないこ

とを確認する。

4 (右3の予備的請求)

控訴人と被控訴人鎌倉市長Aとの間において、神奈川県知事が昭和三三年七月一

五日神奈川県告示第四七二号をもってした建築基準法四二条一項五号所定の道路位

置指定処分が原判決別紙物件目録(二)記載の土地に関し無効であることを確認す

る。

5 被控訴人鎌倉市は控訴人に対し金一五○万円を支払え。

二 被控訴人ら

主文同旨

第二 事案の概要

本件事案の概要は、原判決の「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」のとお

りであるから、これを引用する。ただし、原判決一二頁一一行目の「無効であ

る。」の次に、改行のうえ「さらに、五○四番九の土地(本件(一)土地及び本件

(二)土地)は、昭和二七年の共有物分割により、四九七番一及び五○四番一○の

各土地(控訴人宅地)とともに控訴人の父であるBの所有となったが、登記申請の

間違いによりCらの所有名義になり、その過誤が判明したので、昭和五一年七月六

日に財団法人春雷会から控訴人に所有権移転登記がされたものである。したがっ

て、昭和三三年にされた道路位置指定の申請は所有者であるBの承諾がないもので

あったから、本件(二)土地についての本件位置指定は無効である。」を加える。

第三 証拠

証拠の関係は、原審及び当審記録中の証拠目録に記載のとおりであるから、これ

を引用する。

第四 当裁判所の判断

当裁判所も、被控訴人の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきも

のと判断する。その理由は、次のとおり付加・訂正するほか、原判決の「事実及び

理由」欄の「第三 当裁判所の判断」のとおりであるから、こ

れを引用する。

一1 原判決二五頁七行目の「幅員四メートル未満の道で」の次に「、」を加え、

同八行目の「前号の規定にかかわらず、」を「前項の規定にかかわらず、」と改め

る。

2 原判決二五頁八行目の「規定したもの」から同二六頁六行目の「そこまで厳格

に解することは」までを「規定したものである。そして、右にいう「この章の規定

が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道」に

ついて具体的に二項道路としての指定をするか否かは特定行政庁の専門技術的裁量

に委ねた趣旨であると解される。したがって、右規定にいう「現に建築物が立ち並

んでいる」というには、当該道のみによって接道義務を充足する建築物が複数存在

すれば足りると解するのが相当である。控訴人は、右の「現に建築物が立ち並んで

いる」というのは、道を中心に建築物が寄り集まって市街の一画を形成し、道が一

般の通行の用に供され、防災、消防、衛生、採光、安全等の面で公益上重要な機能

を果たす状況にあることをいうと主張するが、それが特定行政庁の専門技術的裁量

の余地を否定する趣旨であるならば、」と改める。

3 原判決二七頁一行目の「2 前記争いのない事実等」から同三行目の「弁論の

全趣旨)」までを「2 前記争いのない事実等、証拠(甲一ないし八、九の一及び

二、一○ないし一二、二二、二九、三一の一・二、三二、三六、三八、四○ないし

四七、乙一の三ないし八、五、七ないし一二、原審における証人Dの証言及び控訴

人本人尋問の結果)並びに弁論の全趣旨」と、同二八頁一行目から二行目にかけて

の「基準時当時、その幅員は三メートル程度であった。」を「その後の昭和四五年

ころ本件(一)土地の道路が幅員約五メートル(一部)に拡幅して舗装されたほ

か、本件(二)土地の道路と隣接地間の擁壁等の位置関係に大きな変化は生じてい

ない。基準時当時の本件(一)土地の道路幅員は三メートル程度、本件(二)土地

の道路幅員も四メートル未満程度であった。」と改める。

4 原判決三一頁六行目の「前記認定のとおり、基準時当時、」の次に「本件

(一)土地と本件(二)土地が控訴人宅地と右の公道をつなぐ間の道路として連続

して一体的に利用されてきたものであること、」を加え、同三二頁四行目から五行

目にかけての「かつ、本件(一)土地の幅員は、基準時当時三メートル程度であっ

たというのであるから、当時この土地のみに

よって」を「かつ、基準時当時の本件(一)土地の道路幅員は三メートル程度、本

件(二)土地の道路幅員も四メートル未満程度であったというのであるから、当時

これらの土地のみによって」と改め、同九行目の「これに対し、原告は、」から同

三三頁三行目の「とても法が容認する事態とは思われない。」までを削り、同四行

目の「また、原告は」を「これに対し、控訴人は」と改める。

5 原判決三五頁一行目の「幅員約五メートル」の後に「(一部)」を加え、同二

行目の「原告本人尋問調書五頁」の前に「甲三、二九(添付図面)、」を加える。

二1 原判決三五頁九行目の「証拠(甲七、弁論の全趣旨)」を「証拠(甲一、

七、三二、四○、四一、弁論の全趣旨)」と、同三六頁六行目の「申請図書通りで

指定して支障ない」を「申請図書の通りで指定に支障ない」と、同三七頁四行目の

「本件位置指定は、本件(二)土地については存在しない」を「本件位置指定が本

件(二)土地については存在しない」と、それぞれ改める。

2 原判決三七頁一一行目の「しかし、証拠(乙一の一ないし八、乙四、弁論の全

趣旨)」を「昭和三四年建設省令第三四号による改正前の建築基準法施行規則によ

れば、建築基準法四二条一項五号に規定する道路の位置の指定を受けようとする者

は、申請書正副二通に、附近見取図、地籍図、指定を受けようとする道路の敷地と

なる土地(以下「土地」という。)の所有者及びその土地又はその土地にある建築

物若しくは工作物に関して権利を有する者の承諾書を添えて特定行政庁に提出する

(七条、現在の九条)ものとされていたところ、証拠(甲六、一一、一二、乙一の

一ないし八、四)及び弁論の全趣旨」と、同三八頁五行目の「申請図書の通りで指

定して支障ない」を「申請図書の通りで指定に支障ない」と、それぞれ改め、同六

行目の「道路の幅員の不足」の前に「また、道路巾員が四メートル、道路延長が二

四一・五メートルである旨、昭和三三年三月二七日に工事人立会いの下に現場調査

した旨などが記載されており、」を加える。

3 原判決三九頁一行目の「形跡がない」から同六行目の「結論を左右するに足り

ない。」までを「形跡もない。しかし、乙一の一ないし三(右申請書)には関係権

利者の承諾書は添付されていないから、本件道路位置指定の申請に際しては、右承

諾書は添付されていなかった可能性がある。そして、乙一の一ないし三の記載内容

照らすと、そのような承諾書の添付がなかったとすれば、本件位置指定の対象とさ

れる土地については、申請者である財団法人中村惠風園療養所だけが所有者であ

り、そのほかには「その土地又はその土地にある建築物若しくは工作物に関して権

利を有する者」は存しないとして申請がされ、そのような前提で道路位置指定がさ

れたためであったと推測される。控訴人の主張するとおり、本件位置指定がされた

当時、本件(二)土地の幅員は南端で三・四六メートル、北端で三・八○メートル

しかなかったとすれば、本件位置指定は幅員四メートルの範囲でされているから、

本件位置指定について本件(二)土地の隣接地の所有者等の承諾が必要であったこ

とになる。しかし、控訴人は右隣接地の所有者ではないから、右の承諾がないこと

を無効事由として主張できるかどうか疑わしいのみならず、右承諾書がないことは

重大な瑕疵に当たるということはできない。」と改める。

4 原判決三九頁六行目の次に、改行のうえ次のとおり加える。

「 控訴人は、本件位置指定当時、五○四番九の土地(本件(一)土地及び本件

(二)土地)は控訴人の父であるBの所有であって、Cらの所有名義となっていた

のは登記申請の過誤によるものであり、所有者であるBの承諾がないから、本件位

置指定は無効であるとも主張する。

しかし、甲一によれば、五○四番九の土地については、本件位置指定の当時、財

団法人中村惠風園療養所が所有者として登記されており、控訴人名義に移転登記が

されたのは昭和五一年七月六日であることが認められるから、仮に控訴人主張のよ

うな事実があったとしても、このことをもって本件位置指定に明白な瑕疵があった

ということはできない。」

第五 結論

以上のとおりであるから、原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がない

からこれを棄却し、控訴費用は控訴人に負担させることとして、主文のとおり判決

する。

東京高等裁判所第四民事部

裁判長裁判官 矢崎秀一

裁判官 西田美昭

裁判官 榮春彦

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