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東京高等裁判所 昭和24年(を新)2508号 判決 1950年4月25日

主文

原判決中被告人Aに関する部分を破棄し同被告人に対する強盗幇助賍物

収受同故買被告事件を東京地方裁判所に差し戻す。

理由

弁護人丸三郎の控訴趣意書第一点について。

本件起訴状による検察官は公訴事実第四(1)において被告人Aは昭和二十三年

七月二十二日被告八B及び原審相被告人C等が強盗をなす情を知りながら同人等に

対し東京都杉並区ab丁目c番地D方を指示案内し以て同人等の強盗行為を容易な

らしめて幇助したとの事実を摘示し同(2)において被告人Aは前同日肩書自宅に

おいて右Cより同人及び被告人B等が強取して来た小紋縮緬女物袷一枚外衣類等六

点をその情を知りながら交付を受けて賍物の收受をしたとの事実を摘示して居るこ

と又原審第二回公判調書によれば同公判において検察官は裁判官より訴因変更の許

可を得て起訴状記載の公訴事実第四<要旨第一>の(1)及び(2)を択一的関係に

おいて起訴する旨述べたことも所論の通りである。而して刑事訴訟法第二百五十

六></要旨第一>条に謂わゆる択一的起訴とは基本事実を同じうする数個の訴因を摘示

してその何れか一につき審牝を求むる趣旨と解すべきであるところ強盗を幇助した

者がその賍物を收受した場合には強盗幇助罪と賍物収受罪とか各別<要旨第二>個に

成立するのであるから両者を択一的関係に赴いて起訴することは許されない。従つ

て本件の如く検察官が起訴状に右二罪を併記しながら公判において両者

を択一的起訴に変更する旨陳述したとしても裁判所は固よりこれに拘わることなく

その適否を判断し両者につき各別に審判しなければならないのである。然るに原判

決を見ると前掲賍物収受の事実はこれを認定判示しているけれども前記強盗幇助の

点については所論の通り何等判示するところがない。これ畢竟刑事訴訟法第三百七

十八条第三号所定の審判の請求を受けた事件について判決をしない場合に該当する

ものと云わざるを得ないので論旨に理由があり原判決中被告人Aに関する部分は爾

余の論旨に対する判断を俟つまでもなく既にこの点において破棄を免れない。

以上説明の如く被告人Aの本件控訴は理由があるから刑事訴訟法第三百九十七条

第四百条に則り原判決中被告人Aに関する部分を破棄し同被告人に対する前掲被告

事件を原裁判所に差し戻すべきものとし主文の通り判決する。

(裁判長判事 稻田馨 判事 坂間孝司 判事 三宅多大)

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