大判例

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東京高等裁判所 昭和24年(ネ)582号・昭24年(ネ)586号 判決

昭和十七年三月三十一日神奈川縣知事近藤壤太郎の認可した第一審被告川合寺寺院規則は無効であることを確認する。

昭和六年四月三十日日蓮宗管長酒井日填の認証した第一審被告川合寺寺法は同寺の寺院規則であることを確認する。

第一審被告等の本件控訴はこれを棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも第一審被告等の負担とする。

二、事  実

第一審原告等訴訟代理人は主文同旨の判決を求め第一審被告等訴訟代理人は原判決中第一審原告等の勝訴の部分を取消す。第一審原告等の請求を棄却する旨の判決を求め、第一審原告等の控訴に対してはこれを棄却する旨の判決を求めた。

事実並に証拠の関係は、

第一審原告等訴訟代理人に於て、原判決の事実摘示中記録第三百四十八丁表第八行目「当時被告日蓮宗管長としても之を知悉し、殊に右寺院規則の内容が云々以下同丁裏第五行目云々するものであるから無効である」迄を撤回し、之に代えて、「当時第一審被告日蓮宗管長に於ても寺院規則は檀徒総代の同意なくしては有効に成立せず、檀徒総代の同意がないものは寺院規則として無効であり、これに管長が承認を與えても創設的効力を有しないものであるから効力を発生する限りではない。このようなものを管長が承認する筈もなく、又管長が承認を與える考えもなかつたのである。然るに無資格者である第一審被告西村、和田、浅川等を檀徒総代と信じ且本件寺院規則になされた同意を檀徒総代の同意と誤信したから承認を與えたのである。管長は檀徒総代の同意のない寺院規則にその同意あるものと信じて承認したことの誤りを知り、承認の無効を表白している。又神奈川縣知事も管長と同じ事情に於て寺院規則を認可したものであり、その認可は創設的効力を有しないものであるから本件寺院規則は無効である。」と主張し尚、

第一第一審被告西村、和田、浅川は川合寺の檀徒総代たる資格を有しない。

第二神奈川縣知事が昭和十七年三月三十一日認可した川合寺寺院規則は無効である。

一、寺院規則作成には檀徒総代たる第一審原告等の同意がない右寺院規則は無効である。

寺院規則は法人たる寺院の組織運営を定める規則であるから、その法人の設立者の意思によつて寺院規則は成立することが法人の本質上疑なきところである。宗教法人令第三條はこの原則を明にしたものである。然し寺院は慣習上の法人であつて民法施行前から存在するものが多く檀徒信徒から組織せられるものと見られて來たから、その総意によつて組織運営は定めらるべきものとしたのである。即ち宗教団体法第三十二條第二項は寺院規則は檀徒総代の同意を要すと規定したものであるから、寺院規則は檀徒総代の意思によつて成立することを明にしたのである。寺院規則は寺務担当者たる住職の意思によつて成立するものではなく、又檀徒総代の意思を外にした寺院規則はあり得ない。そこで同條に規定する檀徒総代の同意とは民法上の用語たる同意とは意味を異にし、意思能力の補充たる意味に於ける同意ではなくて檀徒総代の意思そのものを謂うのである。從つて寺院規則が檀徒総代の意思にあらざる限り寺院規則は成立せざるものであるから、管長の承認があつても知事の認可があつても寺院規則は成立しないものである。本件は檀徒総代たる第一審原告等の意思とは無関係に作成された寺院規則であるから川合寺の寺院規則として成立していない。

二、管長の承認と知事の認可に寺院規則創設の効力はない。管長は第一審以來本件寺院規則承認の無効を認め、從つて認可の無効をも認めているから、この点に関しては省略し、神奈川縣知事の認可に創設的効力なきことを詳論する。

行政行爲たる認可とは当事者の法律行爲が国家の同意を得るにあらざれば有効に成立することを得ない場合に於て之に同意を與え、以てその効力を完成せしむる行爲である。即ち法律行爲の当事者は別に存し認可は唯効力を完成せしむるに補充的意思表示たるのみ、例えば法人設立の許可、法人定款の認可の如し(美濃部達吉行政法提要五八頁)。

公益法人設立の認可は法人成立の要件ではあるが、法人設立の行爲が無効であるとき認可があつても法人は成立しない。社団法人に於て定款変更の認可があつても社員の同意なきときは定款変更は無効である。これは民法上の解釈としても異論のないところである。寺院規則の制定が檀徒総代の同意なくしてなされたときは、その法律行爲は無効であるから認可があつても寺院規則が成立する余地はない。認可は常に当事者の有効に成立した行爲に対し国家がこれに同意する効力を有するに止まる。本件に於て神奈川縣知事近藤壤太郎が檀徒総代の同意なきことを知りて認可したると、知らずして認可したるとを問わず実質上檀徒総代の同意なき寺院規則に対する認可は寺院規則を成立せしむる効力はない。

原判決はこの点に関し左の如き法律解釈上重大な誤謬をしている。

イ、同意権者を欠く申請は一般に瑕疵を有すると解すべきであるが、住職と檀徒総代との意見が対立して一致を見ず、到底総代の同意を得る見込なき儘手続の期限も切迫し、やがては寺院規則制定の時期を失する虞のある場合に於ては、住職は当該檀徒総代の同意を得なくても知事に対し有効に申請をなし得る(原判決理由)。

この解釈は当事者間の法律行爲たる寺院規則制定行爲の存在を忘れたるものである。認可は当事者の法律行爲に対し補充的効力を與うるもので、法律行爲なければ、この法律行爲に効力の付與を求むる申請はあり得ないのである。寺院規則制定の法律行爲と認可申請を混同したる謬論である。

ロ、管長の承認は宗内秩序確立のため原告等の同意に優位し、殊に寺院規則の制定は国家の宗教政策上に於ける強き要請と看られ、檀徒総代の同意がないからと言うてそのまゝ放置するを許されぬ事柄であり、しかも当該寺院規則の内容そのものは日蓮宗宗制に準拠しその趣旨を採り入れたものである以上、川合寺の前記申請は有効にして原告等の同意なきことはその効力を左右するほどの瑕疵と謂うべきではない(原判決理由)。

日蓮宗宗制を内容とすることは檀徒総代の同意を要することである。換言すれば檀徒総代の意思によつて日蓮宗宗制が寺院規則の内容となるものである。寺院規則制定行爲なくして寺院規則の内容は定まらないに拘らず、内容が日蓮宗宗制に適合すると解釈することは本末顛倒の論である。殊に国家の要請により法律の認めた私法上の行爲を否認することは判決の重大なる誤である。

ハ、原判決は寺院規則の有効條件を定めた宗教団体法第三十二條第二項を單に申請手続規定と解しているが、申請手続に関しては宗教団体法施行規則第六十七條に規定するのである。

特殊法人たる寺院の檀徒総代の地位が法人にとつて極めて重要であることは、明治十年布告第四十三号の公布以來法の認めたところで、住職の金穀借入行爲に付てさえ檀徒総代の同意なきときは無効である。即ちその意は取引上の行爲の要件であつて、單なる同意ではない。况んや寺院規則制定の法律行爲は法人の組織と運営を定むる最も重要な法律行爲である。檀徒総代の同意なき制定行爲の無効なることは、寺院の性質が社団に類似するものであつても、財団に類似するものであつても、本質上当然のことであり、宗教団体法第三十二條第二項の明文からも明瞭である。原判決は寺院規則に対する檀徒総代の同意を單なる申請手続に過ぎないものとしたところに法人の本質を誤解した違法がある。尚宗教団体法施行規則第六十七條には申請手続に関して規定する。同規定によれば申請には檀徒総代の同意書を添附して寺院規則の申請をなすべきであるが、本件申請に檀徒総代たち第一審原告等の同意書は添附せざりしものである。

要するに本件は寺院規則制定行爲は違法であり、認可申請は違式である。知事の認可が取消されざる限り寺院規則が有効なりとすることは、行政行爲たる認可の性質の補充的効力を存するに過ぎざることを知らざるものである。

第三、昭和六年四月三十日日蓮宗管長酒井日填の認証した川合寺寺院規則は有効である。

一、法人には法人の組織運営を定めた規則が存在するものである。これなくして法人は存在しない。若しこの規則が存在しないときは雜然たる人の集合か、財産の集合に過ぎないからである。特殊法人たる寺院にありても法人たる性格上この法理は他の法人と異なるものではない。宗教法人令第三條はこの原則を明にしたものである。唯寺院は古くから存在し慣習上法人格を有するものであるから、その規則も成文規定なることあり、不文なる慣習規定なることもあり得るのである。

二、川合寺は川合芳次郎が明治二十七年九月二十六日主務官廰の許可を得て設立した法人である。民法施行前に成立した寺院たる法人であるから、民法施行法第二十八條に依り民法は適用せられない。即ちこの法人の組織を定めた規定は法律上の手続を要せずして法人の成立と同時に成立し、所謂寺院規則となるものである。設立者川合芳次郎は川合寺設立と同時に川合寺の組織運営を定むる規則を定めた。これが内規慣例となり同人はこれを大正七年三月成文となし寺憲と称し、次でこれを昭和六年四月三十日寺法と称し日蓮宗管長の認許を得て成文寺院規則たることを明確にした。管長の認許は寺院規則としての法律上の効果を左右するものでないが、規則を明確にし特定性を與うるのみである。この管長の認許により明確にせられた寺院規則の内容は、川合寺設立の当初設立者川合芳次郎の定めたる寺院の組織運営を定めたるものと同一にして、設立以來宗教団体法施行せられたる昭和十五年四月一日まで約五十年の長年月に亘つて、川合寺の根本規則として遵守せられて來たことは当事者間に爭ない事実である。現に第一審原告等はこの規則によつて檀徒総代となつている者であり、第一審被告大沢玄章はこの規則によつて川合寺の住職となつたものである。

三、寺院規則と明治十七年太政官第十九号布達との関係(原判決の誤解)。

布達第四條には「管長は其立教開宗の主義に由つて宗制寺法を定め内務郷の認可を得べし」と規定するが、この所謂寺法が各寺院の寺院規則を指すものでないことは明瞭である。各宗管長はその宗派の立教開宗の主義に由つてその宗派の秩序を維持し、宗派の円満なる発達を計る職責を有するが故に本山末寺の関係、末寺相互の関係並に住職の任務等に付て秩序維持のためにその宗派に属する者の遵守すべき規則を定むる必要がある。同布達は管長に対しこの準則を定めて内務郷の認可を得べしと定めたものである。この準則が即ち所謂寺法であつて寺院規則ではない。寺院規則は寺院の組織運営を定むる規則でこの規則によつて寺院が成立するもので、準則ではなく法人存在の根本規則である。それ故に所謂寺法と寺院規則は本質的に相違するのみならず布達の文言に依れば「立教開宗の主義に由つて管長の定むべきものとす」とあるから、管長の定むべき規則はその宗派の規則であつて、各寺院の組織規則でないことは極めて明瞭である。実際に於ても全国幾万の寺院たる法人の存在するに拘らず、管長の定めた寺院規則の存在するもの絶無である。殆ど不文規則であり、少数の成文規則の存するものがあることは当審証人秋谷一郎の証言するところである。原判決は川合寺の寺院規則が寺法の名称を有することと布達の誤解によつて甚だしき誤謬を犯したのである。

四、寺院規則と宗教団体法及宗教法人令との関係。

川合寺には宗教団体法に依る寺院規則は成立していない。既に第二に於て詳論したるが如く、神奈川縣知事の認可したる川合寺寺院規則は無効であり、且宗教団体法第三十二條第二項の期間内に適法なる寺院規則は制定しなかつたのである。而して同法は右期限内に寺院規則を制定しなかつた場合に付て法律上の効果を定めていないから、同法の寺院規則が川合寺に存在せずというに過ぎずして、川合寺が寺院規則を有するや否やは同法によつて解決することはできない。又川合寺の有する寺院規則の効力を失うものでもない。この問題は法人の本質と川合寺の設立者たる川合芳次郎の定めた規則によつて定むべきである。而して川合芳次郎が川合寺の組織と運営を定めたことは既に述べた通りである。

宗教団体法が廃止せられ宗教法人令が施行せられた。宗教法人令附則第二項によれば本令施行の際現に存する寺院、寺院規則、総代は本令に依る寺院、寺院規則、総代と看做す旨を規定する。現に存する寺院、寺院規則、総代が宗教団体法に定められたものなりや否やを問はない。それは宗教の自由を認め宗教団体法の国家統制から宗教法人を解放したる当然の結果であるのみならず、同附則第三項に於て宗体団教法の登記のみに付てその効力を特に同附則に於て認めたのみで、その他に於て宗教法人に関する宗教団体法の効力を規定しないところからも明瞭である。故に川合寺が有する設立者川合芳次郎の定めた寺院規則は現に存し、これが宗教法人令により寺院規則と看做されることは当然である。

第四、結論。

川合寺は法人である。法人である限り唯一の組織規則たる寺院規則の存在は不可欠のものであり、且つ既に論じたる如く現に存在する。それは、神奈川縣知事の認可したる宗教団体法の寺院規則ではなく設立者川合芳次郎の定めたる規則である。宗教団体法による寺院規則の無効なることは既に詳論したところであり、又法人の設立者がその組織規則を定むることは法人設立の本質から明瞭であるのみならず、宗教法人令第二條、第三條の規定からも疑う余地は存しない。

以上の理由により昭和十七年三月三十一日神奈川縣知事近藤壤太郎の認可した寺院規則の無効を確認せられ、昭和六年四月三十日日蓮宗管長酒井日填の認証したる寺院規則(管長の認証は設立者川合芳次郎の定めたる規則を特定する意味にして認証に効力を認めた趣旨ではない。)が川合寺の寺院規則たることの確認を求めます。

と補述した。

<立証省略>

三、理  由

当裁判所は、第一審原告等が川合寺の檀徒総代であつて、第一審被告等は同寺の檀徒総代でないものと認める。そしてその理由は当審証人今井健、馬田即眞の各証言、当審に於ける第一審被告西村静夫の供述中以上の各認定に牴触する部分は採用しない、と附加する外すべて原判決の理由(記録第三百五十五丁表第三行目から第三百六十丁裏末行迄。)に示すところと同一であるからこれを引用する。(但し冐頭認定に供した甲第二十一号証甲第二十二号証は原審に於ける第一審原告川合昇第二回の供述によりその成立を認めると加える。)

次に川合寺の寺院規則の点について審按するに、第一審被告大沢玄章が川合寺の住職として昭和十七年三月二十八日寺院規則(乙第十五号証)を定め、第一審被告西村静夫、和田竹次郎、浅川省三等の同意の下に、第一審原告等両名の同意を得ずして、日蓮宗管長酒井日填の承認を受け、神奈川縣知事近藤壤太郎に対し右寺院規則の認可を申請し、同年三月三十一日同知事の認可を得た事実は本件口頭弁論の全趣旨に徴し、当事者間に爭がないものと認める。然らば前段認定によれば当時第一審原告等は川合寺の檀徒総代であつて、第一審被告西村、和田、浅川等は檀徒総代でなかつたのであるから、右申請は檀徒総代の同意なくしてなされたことは明白である。

おもうに、寺院は民法に規定する社団又は財団法人とは異なる特殊の法人であり、社団法人に於ける定款、財団法人に於ける寄附行爲によつて成立するものではないが、一定の宗派に属し、堂宇を備え本尊を安置し、所属宗派の奉ずる宗教の教義の宣布及び儀式の執行を目的とし、僧侶、檀信徒、基本財産を構成要素とするものであると考えられるから、その存立を法律上認められる以上、必ずやその寺院の組織運営を規律する根本規則である寺院規則が存在しなければならないことは法人の本質上事理の当然とするところである。而して明治十七年八月十一日太政官布達第一九号により政府は各管長をして自己の宗派内に於ける條規である宗制寺法を定めさせ之が認可を受くべきことを規定したこと、宗教団体法第三條によれば「宗派を設立せんとするときは、設立者に於て宗制を具し、法人たらんとするものにあつては、その旨を明かにして主務大臣の認可を受けることを要する」旨規定したこと、同法第六條によれば「寺院を設立せんとするときは、設立者に於て寺院規則を具し、管長の承認を得、法人たらんとするものにあつては、その旨を明かにして地方長官の認可を受けることを要する」旨規定してあること、宗教法人令第三條には「寺院を設立せんとする者は寺院の規則を作ることを要する」旨を規定してあること等よりするもこの点の法意を窺うに足る。そして管長の制定する宗派の宗制又は宗派設立の際の宗制は宗派なる包括的宗教団体を規律する規則であるから、その規則中に宗派の構成分子である寺院内部の組織運営に関する事項である檀信徒の資格及び権利義務を規定した場合に於ては、構成分子の寺院は、從前これと異なる特別の寺院規則がない限り、この規則に拘束せらるゝものと解するを相当とするも、元來寺院内部の組織運営に関する事項の如きは、宗派の統一、秩序を乱さず、管長に於て承認する限り、その寺院の自主に任せ自律させるを適当とすべきものであることは、信仰の自由を尊ぶ法の精神から容易に首肯できるものと考える。而して檀徒が寺院に於て重要な構成分子として取扱われ、住職が寺院を代表してなす財産処分その他の法律行爲に於て檀徒総代の同意が心要とせられ、これを欠く場合無効を招來する等の法意よりすれば、寺院にとりて最も重要なる寺院規則制定に於ける檀徒総代の同意は、社団法人の定款変更の際の社員の同意公益法人設立に於ける設立者の意思に於ける場合に準じ、特殊法人の性質から程度の差はあるにしても、これを必須不可欠の要件となすものと考えるのを相当とするから、社団法人の定款変更につき社員の同意なくして、又は公益法人の設立に際し設立者の意思なくして申請がなされ、之が認可があつても定款変更又は法人設立が無効であるのと同様、寺院規則制定に於ても檀徒総代の同意を全く欠如するに於ては、仮に管長の承認、地方長官の認可があつたとしても、その基本の申請行爲が無効である以上、有効な寺院規則が成立したものと認めることはできない。

尤も右申請当時は宗教団体法が施行せられ、同法は戰時中の国情を反映し、宗教を統一し国家の保護、監督を強化する目的の下に、寺院規則をその属する宗派の宗制に同調せしめることを企図したものであることは、同法並に之に附属する法令により明白であるが、このことにより檀徒総代の同意を欠く場合に於て前記認可による寺院規則が有効となる法律上の根拠は之を見出し難い。よつて昭和十七年三月三十一日神奈川縣知事近藤壤太郎の認可した川合寺の寺院規則(乙第十五号証)は無効である。

然らば前段認定によれば、昭和六年四月三十日日蓮宗管長酒井日填の認証した川合寺寺法(甲第二号証)は成文の寺院規則としては国家が承認しなかつたが、これと同一内容のものが慣行による不文の寺院規則として当時存在していたものであるから、宗教団体法施行令第三十五條、宗教法人令附則により引続きその効力を認められ現在川合寺の寺院規則であるものと認めるを相当とする。

よつて第一審原告等の請求は全部理由があるところ、その請求を一部排斥した原判決は一部不当であるからその部分を取消し、その他を相当とし、第一審原告等の本件控訴は理由があり、第一審被告等の本件控訴は理由がないものと認め、民事訴訟法第三百八十四條第一項、第三百八十六條、第九十六條、第八十九條を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 渡辺葆 浜田潔夫 牛山要)

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