東京高等裁判所 昭和24年(ネ)754号 判決
控訴人は民事訴訟法第六十九条第二項に基き、被参加人半次において本件土地が控訴人の所有たることを全面的に認めて争わない以上、その訴訟行為に牴触する本件訴訟参加の申出は不適法にして却下せらるべきであると主張するのであるが、本件は同法第七十一条によるいわゆる独立当事者参加の場合であつて、第六十四条の補助参加ではないから、控訴人の右論難は参加人の参加申出の本旨に副わざるものであつてもとより取るに足りない。右第七十一条の参加は本訴の当事者と参加人とが互に対立し、三面訴訟の形態を取る関係上、参加の趣旨としては通常の場合参加人より当事者双方に対するそれぞれの請求の趣旨を掲げ、これにつき参加する旨を表示することが要求されるのであるが、事情によつては参加人において原被告双方に対し敢て各別の請求を為す実質的の必要がなく、例えば他人間の訴訟によつて自己の権利の害せられることを阻止する為めには当該訴訟に参加してその馴合的訴訟の追行を控制し、終局において原告の請求を棄却する判決を得さえすれば参加人の所期した目的を達成し得るような場合もあるのであつて、このような場合にも第七十一条による参加を許す実益が存し、同条の参加が通常三面訴訟であることを理由として、参加人において原告に対する請求棄却の申立以外特に被告に対し格別の請求を為す必要と利益を認めないのに拘らず、なおもこれが請求を為すべきことを強制しなければならぬ理由は存しない(最高裁判所昭和二十七年三月四日第三小法廷判決の趣旨参照)。然るところ本件においては参加人国より被控訴人半次に対する農地買収処分は既に確定し、該処分に明白且つ重大なる瑕疵がない限り、最早やこれが効力を争うとは許されず、本件土地の所有権は買収により確定的に政府に帰属し、該土地上の一切の権利は買収と共に消滅すべきものであるから、参加人国としては進んで被買収者たる被控訴人半次に対し本件土地が国の所有たることの確認を求める必要を認めず、同被控訴人が原審において原告(控訴人)の請求棄却の判決を求めながら(当審では控訴人請求通りの判決を求めている)、その全主張事実を認めて争わない事態に鑑み、その結果原告勝訴の判決が為され、該判決に基き本件農地につき控訴人の為め所有権移転登記が為されるときは、国の買収事業の進捗に妨害を受くべきことを恐れ、かゝる当事者双方の馴合による訴訟行為を阻止する為め、本件参加の申出をしたのであり、且つその目的の為めには当該訴訟における原告の請求が排斥されることを以て足るものとしたのであると解される。それ故本件訴訟参加は単に被控訴人半次を補助せんとするものではなくして、民事訴訟法第七十一条による参加申出としての要件に欠けるところなきものというべく前記控訴人の抗弁は理由がない。