大判例

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東京高等裁判所 昭和24年(新を)2761号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(理由)

記録を精査すると原審第二回公判調書中に、証人田中謙一郞の尋問方法について、所論のように訴訟関係人は、右証人については、検察官並びに弁護人よりそれぞれ申請しその取調を採用されたのであるが交互尋問の方法により、検察官より尋問されたき旨述べ裁判官は右証人訊問については交互尋問の方法により、検察官より尋問を為す旨告げたと記載されているが、原審第一回公判調書によれば右証人に所論のように検察官並びに弁護人双方の申請ではなくて弁護人からだけの申請であることが認められる。従つて原審裁判所及び訴訟関係人が右の事実を誤認しなかつたならば右証人の尋問は交互尋問の性質並びに、刑訴法第三〇四条第三項第二項後段の趣意によつて、申請した弁護人が先づ訊問すべきであつたのである。然るに右のような誤認があつたために原審第二回公判調書記載のように、裁判官の前記交互尋問の決定に基いて、先づ検察官が尋問し、次いで弁護人がこれを尋問したものであるから、原審の訴訟手続は前記刑訴法の規定の趣旨に副はないものであることが認められる。而しながら、刑訴法における交互尋問は米英等におけると異り未だ基本的な制度としては確立されていないのであつて、このことは、前記刑訴法第三〇四条がその第一項において裁判官の尋問を原則とし第二項に当事者の補充尋問及びその順序を定め第三項に裁判所は適当と認めるときは、訴訟関係人の意見を聞いて第一、二項順序と異る尋問の順序(交互尋問はこれに包含される)を定めることができると規定していることが明らかであり、例外な場合としては裁判所の裁量によつて申請しない当事者をして先に証人を尋問させることも違法ではないと解せられるのである。而うして前記証人の尋問方法の決定及びその施行は、前記のような誤認に基いたものではあるにもせよ、訴訟関係人の一致した申出によつて裁判所がこれを決定し、而も弁護人から充分な尋問をしていることは記録に徴し明らかであるから、前記のような些少の瑕疵があつたとしても、これを以て前記証人の証言を不適法とする程度の瑕疵と認めることは到底できないものと解すべきである。従つて原判決が原判示第二事実認定の証拠として右証人の証拠として引用したことは、不適法な証拠を引用した違法ある場合に該当しないのであるから所論は結局失当である。

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