大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和24年(新を)3468号 判決 1950年4月17日

被告人

須藤平二郞

外一名

主文

原判決中被告人須藤平二郎に関する部分を破棄する。

被告人須藤平二郎を懲役壱年に処する。

但し同被告人に対し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人木村守一の本件控訴はこれを棄却する。

当審における訴訟費用は被告人木村守一の負担とする。

理由

弁護人宍戸雄蔵の論旨第一点について。

所論は要するに本件の住居侵人は強盜予備行為に吸収されるのであるというに帰着するが、強盜予備罪は場合によつては、他人の家に強盜に押入る目的を以て短刀を購入する等の行為によつても成立するものであつて、常に必ずしも住宅侵入を伴うものではない。原審は被告人が他二名と強盜をしようと共謀し、拳銃一挺を携えて安藤仁三郎方の塀を乗り越えて同人の看守する同邸宅に侵入した事実を認定し、右被告人等の行為を一面強盜予備罪に該当すると同時に他面住居侵入に当るものと認定したものであつて、正当であると云はねばならない。もし所論の如く住居侵入が常に必ず強盗予備の中に吸収されるものとすれば、強盗予備罪の法定刑は二年以下の懲役であるのに住居侵入罪の法定刑は三年以下の懲役又は五十円以下の罰金であつて、法定刑の軽い強盗予備罪が法定刑の重い住居侵入罪を吸収するということになり、結果から見ても妥当を欠くことになるのである。従つて原判決には所論のような事実の誤認はない。論旨はこれに反する独自の見解に立つて原審の事実の認定を論難するものであつて理由がない。

(本件は量刑不当により破棄自判)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例