大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)1552号 判決

原判決においては、被告人が第一に小林正一所有の衣類等六点価格合計金六千五百円の物を、第二に牟田吉之助所有の衣類二点価格金二千二百円の物をそれぞれ窃取した事実を認定し、右被害者の両名の被害顛末書を証拠として挙げていること、及び右両名の被害顛末書には被害品の価格として前者は合計金六千二百円位と、後者は合計金三千五百五十円位と記載されていること、いずれも所論のとおりである。しかし原判決は右のように牟田吉之助の所有品については、被告人が衣類二点を窃取した事実を認定しているのであり、牟田吉之助の被害顛末書中被害金品目録欄には、国民服(乙)上衣数量一、見積価格八百円位、サージ数量一、見積価格千四百円位と記載されているから、原判決は牟田吉之助の分については、右国民服一枚とサージズボン一枚(被害顛末書には単にサージとのみ記載されているがこれはサージズボンを意味することが山本八郞作成に係る買取売却並に一部提出始末書と題する書面の記載により認めることができる)の窃取を認定したものと解せられるから、原判決の認定事実と証拠たる右被害顛末書の記載内容との間は何等そごするところはない。唯小林正一の所有品については、所論のとおり原判決の認定した被害品の価格と証拠たる前記被害顛末書の記載内容との間に明らかにくいちがいの存することを認めることができるが、判決において窃盜の事実を認定する場合は、如何なる財物を窃取したかを認定するだけで十分であり、その財物の価格までを認定する必要はないものと解するから、たとえ原判決の理由中に右のような一部のくいちがいが存しても、犯罪事実の認定としては欠けるところないものというべきである。従つて原判決中右の瑕疵は、これを以て原判決を破棄する理由とはならないから論旨は採用することができない。

(註 本件は量刑不当により破棄自判)

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