大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)1591号 判決

原判決は所論の小麦粉及び焼菓子換価代金一万四千二百十九円六十一銭の沒収理由として、右小麦粉及び焼菓子が本件犯罪を組成した物で被告人以外の者に属しないから、刑法第十九条によりこれを沒収する旨説示しているが、原審が取り調べた記拠によると、右換価代金は被告人が買受けた小麦粉十袋(一袋二十二瓩入)中九袋の換価代金七千四百六円九銭と小麦粉を加工して製造した煎餅十八貫五百十五匁の換価代金六千八百十三円五十二銭の合計金額であること明白である。そうだとすると、本件で犯罪行為を組成した物は右小麦粉十袋であるが、内九袋の換価代金七千四百六円九銭は法律上小麦粉と同一視すべきものであるから、原判決の前記説明は稍粗笨ではあるが、これを破棄しなければならぬ程の理由不備とも考えられない。しかしながら焼菓子に至つては前記小麦粉十袋(一袋六貫入)中一袋を被告人が加工して製造した煎餅であることは原審が取り調べた証拠によつて明白であるから、果して右煎餅が社会通念上小麦粉と同一物に見らるるや又六貫匁の小麦粉を煎餅となして十八貫五百十五匁の煎餅が製造さるるものなりやの疑が生ずるのであるが、原審が取り調べた証拠によつてはこの点が解明されていない。果してしからばこの点において原判決の前記沒収理由の説明には理由不備乃至は審理不尽の違法あるものといわなければならない。そこで当裁判所は右の点につき事実の取調として被告人を質問したところ、被告人の供述によると、前記煎餅は飴その他を材料とし小麦粉をその材料の一部として加工したものであつて、その結果性質、用途、価格等において被告人が取得した当時とは社会通念上別物と見られるに至つたことを看取することができる。そうだとすると、この場合右煎餅は最早本件犯罪行為を組成した物とはいい得ないのでその換価代金も沒収することができないものといわなければならない。果してしからば原判決が焼菓子十八貫五百十五匁の換価代金六千八百十三円五十二銭を沒収する旨言渡したのは誤りであつて、論旨は理由ありに帰する。

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