大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)1983号 判決

原判決が、その判示にかかる被告人中村孝の自動車用石油製品需要者割当証明書を譲渡した所為中、昭和二十三年六月十五日以降の分が、昭和二十三年六月十五日総理庁令第一号指定生産資材割当規則第十五条に違反するものとして、同法条を適用していることは所論のとおりである。而して、同法条には「需要者割当証明書又は販売業者割当証明書はこれを他に譲り渡し又は他から譲り受けてはならない」と規定していることも亦所論のとおりであつて、その趣旨とするところは、指定生産資材が正当にその割当を受けた需要者又は販売業者以外の者に、交付されることを防止するにあること明らかである。法は、もとより、これら割当証明書の作成発行の職務に従事する者が、不正にこれを他に譲り渡すが如きことを予想して制定されたものとは考えられないから、右法条にいわゆる割当証明書とは、通常の場合においては、右規則所定の資格を有する需要者又は販売業者に対し、正当に発行交付された証明書を指称するものと解すべきことは、所論のとおりであるが、しかし、本件の場合のように、これを作成発行すべき職務に従事する者において、法定の手続に従い、適法な形式を具備して作成した割当証明書であればたとえ、その被割当者に対し、正式に発行交付しない前であつても、これを所持する者が該証明書に記載された被割当者の名において、相当機関にこれを提出することにより、該証明書に指示してある資材の配給を受け得る実情にあつたことが記録上認められるのであるから、その所持人が不正にこれを他に譲渡することによつて生ずる弊害は、該証明書が正当に発行交付された後における譲渡の場合と比較して、実質的には、何らのかわりもないものといわなければならない。従つて、前示指定生産資材割当規則第十五条の制定趣旨に照らして考察するときは、同条による取締の対象中には、かかる場合の譲渡及び譲受をも包含するものと解するを相当とする。してみれば、原判決が、被告人中村の原判示所為に対し、右法条を適用処断したことは相当であつて、原判決には、この点において、所論のような法令の適用を誤つた違法はなく、論旨は理由がない。

(註 本件は量刑不当および擬律錯誤により破棄自判)

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