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東京高等裁判所 昭和25年(う)2571号 判決 1950年12月11日

被告人

沢部洸

外一名

主文

本件各控訴はいずれもこれを棄却する。

理由

弁護人鈴木正二の控訴趣意第二点について。

本件各被告人に対する起訴状を査すると公訴事実として被告人沢部に対しては、金千円乃至五万三千五百二十円二十銭の計十四個、合計二十三万四千百三十三円六銭の業務上横領の事実が挙げられており、又被告人飯島に対しては、金二千三百円乃至七万二千百八円の計十三個、金額合計二十一万二千六百二十三円六十八銭の業務上横領事実が挙げられて居り、且つ右十四個又は十三個の業務上横領の事実が併合罪の関係があるものとして、起訴されていることは所論のとおりである。しかしながら記録を精査し特に原審第四回公判調書中の記載等に徴して考察すると原審は右十四個又は十三個の併合罪として起訴された被告人等に対する各公訴事実の総てについて審理を遂げた結果、その全部に対する判断として各被告人について夫々業務上横領の包括的一罪が成立するものとして原判決摘示のような認定をしたものと認められるから、原判決には所論のような審判の請求を受けた事件について判決をせず且審判の請求を受けない事件について審判をした違法は認められない。又論旨は原審が包括的に一罪と認定した事実を併合罪であると主張するものであるから、論旨は結局被告人の不利益に帰し適法な控訴の理由にならない。論旨はいずれの点よりするも理由がない。

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