東京高等裁判所 昭和25年(う)2978号 判決
昭和二二年政令第一六五号第一条第一項所定の連合国占領軍その将兵又は連合国占領軍に附属し若しくは随伴する者の財産というのは、連合国占領軍又はこれら将兵その他の者が所有権を有し、或いは整理処分の権限を有するすべての財産(但し、同条第二項で除外するものを除く)をいい、軍用品は勿論官給品や、同軍将兵等の私有物一切を含むものであり、又同項にいわゆる公に認められた場合というのは、占領軍当局又は日本政府が同項所定の財産を收受又は所持することを公的に認めている場合を指すのであつて、占領軍将兵が個人的にこれを認める場合はこれに含まれないものと解すべきである。従つて、右以外の方法により前記財産を收受し、或いはこれを所持する者はすべて同令第三条による処罰を免れないことは当然であるのみならず、該收受にかかる財産は依然として同令第一条第一項所定の財産たる性質を失わないのであつて、右のごとき公に認められた場合以外の所論正常の方法によつて同条第一項所定の財産の收受が行われるような事例はこれを想像することができない。そして、原判決挙示の証拠によると、原判示各物件は、いずれも、同令第一条第一項所定の財産であつて、右財産は、いつたん、中村準においてこれを入手した上、更に被告人が原判示のごとく同人から買い取つて所持するに至つたものであることが認められるところ、右各財産の收受乃至所持がいずれも公に認められた場合であるとか、右各財産が同条第二項所定の收受又は所持を許されたものであるということは記録上何等これを肯認するに足りる証拠がないのである。して見れば、原判示各財産は、それぞれ、同令第一条第一項所定の財産たるの性質を失わないことは勿論であつて、これ等財産の所持はいずれも、公に認められない不法のものであるから、原審が被告人の原判示各所為を同令第一条第一項に違反するものと認めこれに対し、同令第三条第一項を適用したのはもとより当然といわなければならない。従つて、原判決には聊かも所論の違法はなく、論旨は理由がない。