東京高等裁判所 昭和25年(う)3266号 判決
次に職権をもつて、原判決の法令適用の当否を検討するに原判決は、その判示一乃至七の各所為がいずれも、刑法第二百五十六条第二項に該当し、且つ右は同法第四十五条前段の併合罪であるとしながら、罰金刑につき、同法第四十八条第一項を適用し、同条第二項を適用していないのであるが、本件原判示各所為は前示のように、いずれも刑法第二百五十六条第二項に該当するのであるから、懲役及び罰金を併科すべきことは、同項の明文によるのであつて、原判決のように、同法第四十八条第一項の適用による訳ではなく又判示各罪につき必ず併科すべき罰金刑の定めがあり、その各罪がすべて同法第四十五条前段の併合罪であると認められる以上罰金刑については、当然同法第四十八条第二項により、各罪につき定めた罰金の合算額以下において処断すべきことは明らかであるから原判決には、前示のように刑法第四十八条第二項を適用せず同条第一項を適用した点において、法令の適用に誤りがあるものと言うべく而して、この誤りがあることにより、いわゆる処断刑の罰金額に相違を生ずる訳であるから右は判決に影響を及ぼすことの明らかな場合に該当するものと言わなければならない。してみれば原判決は、この点において到底破棄を免れないから、本件控訴は結局理由があることに帰する。