東京高等裁判所 昭和25年(う)4248号 判決
・被告人が判示第三点の犯行の翌日黒羽警察署で巡査部長桜井泰治に対し、右犯行の組成物件である精米五百六十瓩五百瓦を任意に提出し、同司法警察員が刑事訴訟法第二百二十一条に基き之を領置して占有した上、右領置物を沒收し得るものであるとし之に同法第百二十二条所定の事由があると認めて同法第二百二十二条第一項に基き換価処分を為しその代価である金二万三千百九十七円六十銭を保管したことは本件記録殊に被告人の前記司法警察員に対する第一回供述調書同警察員作成に係る昭和二十五年五月二十四日付領置調書並に食糧配給公団川西黒羽合同第二配給所作成に係る右同日付領置証を綜合して認め得られるところであつて所論の右領收証の宛名が被告人であることも、それが被告人の所有に属したものである以上、何等右認定を妨げるものではない。そして、斯る場合、該物件に対する領置は格別解かれたわけではないのであるから判決に於ては領置物自体の沒收を言渡し其の判決確定によつて換価代金が国家に帰属するに至ると解すべきであるとの説がないではないが、元来沒收の判決確定後刑事訴訟法第四百九十六条等によつて換価さるべき押收物を其の判決確定前換価し得るのは、それが沒收さるべき性格を有しているためであり、其の性格は該物件の換価処分によつては毫も影響を受けることがないのであつて、換言すれば其の性格は其の儘換価金に承継され、該換価金は押收物件自体と同視乃至は之に代るべき性格を具有するに至ると解すべきであるから、判決に於ては該物件自体を沒收する場合と同様本来の沒收条項により其の換価金の沒收を言渡すべきである。すると前記精米五百六十瓩五百瓦は判示第三の犯行の組成物件であるから原審が其の換価金を沒収したのは相当であり、其の他記録を精査しても原判決には所論の如き違法がなく、論旨は理由がない。