大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)4476号 判決

所論外国人登録令(昭和二十二年勅令第二百七号)は本邦入国の総ての外国人に対して一定の期間内に所定の登録を為すべき義務を課したのであるが、そのうち法令施行当時在住の外国人に対しては、法令の周知徹底をはかり登録事務の円滑を期する上から、昭和二十二年五月二日以降三十日間登録の猶予期間を与えたのである。

而して右期間内に登録義務を履行しないときは直ちに不登録罪が成立するのみならず登録義務を履行しない間は犯罪状態も亦継続し、公訴時効は義務を履行した時より進行するものと解することが外国人登録令の法意に副うものであると認める。之に反し所定の猶予期間徒過後においては登録義務は残存するも不履行につき刑罰の制裁を科し得ないという見解には賛同し得ない。

今本件公訴事実を閲するに「被告人は昭和二十二年勅令第二百七号外国人登録令施行当時秋田県内に居住していたものであるが、同年五月三十一日迄に所定の登録申請をしなければならないのに(之を怠つたのみならず)昭和二十五年二月七日迄申請を為さなかつたものである」というに在り、単に猶予期間内に登録を申請しなかつた点のみを訴因としているのではないのであるが、之に対し原審は本件に於ては昭和二十二年五月二日より三十日間を経過した時を以て犯罪既遂の時とし、爾後は登録義務が履行されようと否とに拘らず犯罪状態は継続せず、而かも本件起訴(昭和二十五年七月十三日)までに三年の公訴時効期間の経過があり、よつて時効完成したものとの見解をとり、従つて本件公訴については免訴の判決をするという結論に到達したのである。然しながら前記の理由によつて原審の見解は之を是認することを得ないから、原判決の破棄を求める検察官の本件公訴は其の理由があると認むべきである。よつて原判決は破棄を免れないが本件は当裁判所に於て直に判決を為すに適しないから刑事訴訟法第三百九十七条、第四百条に則り之を原審に差戻すべきものとし、主文の通り判決する。

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