東京高等裁判所 昭和25年(う)4843号 判決
本件記録を精査すれば本件における外交参助員なるものは原判示朝日生命保険相互会社の正規の外交社員と異り同会とは何等の法律上の関係がなく、唯その外交社員との間の個人的な契約により参助員なる者が保険契約締結を希望する者を勧誘して同会社外交社員に仲介し、外交社員において正規の手続を履践(保険料の受領を含む)したとき初めて保険契約者が同会社との間に保険契約上の権利義務を取得するに過ぎないのであつて、参助員は寧ろ保険契約者の代理人としてその希望する保険契約を外交社員との間に締結すべき義務を有し、その委託を受けて保険料を預りこれを外交社員に支払うべき義務を有するものであることが認められる。従つて被告人は参助員として保険契約者のために同人から受取つた保険料を業務上保管するものと解するを相当とすべく、尤も原審第一回公判調書中の証人福田実の供述記載中には参助員が外交社員から「委任を受けて」の記載があるが右供述記載を詳細に検討しその他本件記録に現われている一切の証拠を綜合して合理的に判断すれば右の文言によつて直ちに被告人が参助員として外交社員の代理人の地位を有し、従つて又直接或は間接に会社との間に代理関係を有するものとは認め難い。されば原審が被告人において、原判示山崎官太郎、竹淵幸五郎等から受取つた保険料合計金七万五千六百八十円を同人等のため業務上保管をなしていた旨判示した点については何等審理不尽又は理由不備の違法はないから論旨は理由がない。