大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)4906号 判決

原判決を精査するに原判決が所論摘録の如く司法警察員作成の山口雄次に対する供述調書の記載を証拠として原判決挙示の他の証拠と綜合して被告人の判示第一の犯罪事実を認定していること判文上極めて明白である。

然るに前記山口雄次に対する司法警察員の供述調書は其の作成名義人が司法警察員巡査部長篠原行雄となつて居り、外観上当該作成名義人の署名押印あるものの如くであるが当審証人篠原行雄の当公判廷における供述によれば前記供述調書の作成名義人としての篠原行雄の記載は、同人の署名に非ずして同僚佐藤刑事が調書を録取しこれに篠原行雄の氏名を代書し篠原がこれに押印したものであることが認められる。而して右の如く作成者の署名を欠く供述調書が有効なりや否を按ずるに、刑事訴訟規則第五十八条第一項によれば官吏その他の公務員が作るべき書類には、特別の定ある場合を除いては、年月日を記載して署名押印し、その所属の官公署を表示しなければならないと規定して居り旧刑事訴訟法第七十一条にも亦同趣旨の規定がある。これ公務員の書類の成立の正確を担保する趣旨であつて殊にその作成者の署名押印は必要欠くべからざるものと解せざるを得ない。されば前記作成者の署名を欠いた供述調書はそれ自体、司法警察員作成の供述調書として無効にしてかかる無効の供述調書を採つて以つて他の証拠と綜合して原判示第一の犯罪事実を認定した原判決は無効の証拠を採つて罪証に供した違法あるものと謂うべく、右違法は判決に影響を及ぼすこと明かであるから此の点において論旨はその事由があり原判決は到底破棄を免れない。

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