東京高等裁判所 昭和25年(う)5139号 判決
然し乍ら原判決は判示二の事実認定の証拠として被告人の原審公判廷に於ける自白、松村大八の被害届、同人の押収物仮還付請書、国武淳二の検察官に対する供述調書、被告人の検察官に対する供述調書等を挙示して居ること判文上明白であつて、これ等の証拠を綜合すれば原判示二の事実は優にこれを認めることができる。尤も右証拠のうち松村大八の被害届の記載によれば、被害場所は塩尻町大門宿屋営業松村五一方前軒下とあつて、原判示二摘示の被害場所である松村大八方とは相違していること所論の通りであるが、原審第一回公判調書の記載によれば被告人は原判示二と同一内容の事実を包含する起訴状記載の事実を全部其の通りであると認めて居るところであつて原審は被告人の右公判廷に於ける自白及びこれに照応する限度に於ける前記各証拠を綜合して判示二の事実を認定したものと謂うべく、前記松村大八の被害届中右認定に反する記載部分はこれを採用しなかつたものと認められる。
されば原判決には理由齟齬の違法は存しない。此の点の論旨は其の事由がない。