大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(ネ)617号 判決

二、被控訴人両名は控訴人にたいして、別紙第一目録<省略>の家屋、およびこれに備えつけの別紙第一目録<省略>の物品を引渡すべし。

三、被控訴人両名は各自、控訴人にたいし、昭和二十三年七月一日から同年十月十日まで、一月につき金二百五十円の割合にあたる金員、その翌日から昭和二十四年五月末日まで、一月につき金六百二十五円の割合にあたる金員、その翌日から昭和二十五年七月末日まで、一月につき金千円にあたる金員、その翌日から前項の家屋明渡しずみにいたるまで、一月につき金千七百七十九円の割合にあたる金員を支払うべし。

四、控訴人のその余の請求は、これを棄却する。

五、訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の連帶負担とする。

六、この判決中主文第二項は、金五万円の担保を供して、第三項第五項は、担保を供せずして、仮にこれを執行することができる。

二、事  実

控訴人は「原判決を取消す。被控訴人両名は控訴人にたいし、別紙第一目録の家屋及びこの家屋に備え付けの別紙第二目録の物品を引渡し、かつ昭和二十三年七月一日から同年十月十日まで、一月につき金二百五十円にあたる金員、その翌日から昭和二十四年五月末日まで、一月につき金六百二十五円にあたる金員、その翌日から昭和二十五年七月末日まで、一月につき金千円にあたる金員、その翌日から前記家屋明渡ずみとなるまで、一月につき金二千六百四十四円にあたる金員を支払うべし」との判決、並びに仮執行の宣言を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方は原判決事実のとおり述べたほかつぎのとおり述べた。

(控訴人の陳述)

本件請求の損害金額の理由は、地代家賃統制令にもとづく物価庁告示により、昭和二十五年八月一日以降は、(1) 家屋賃貸価格の二・九倍(家屋が昭和十五年以前のもの)、(2) 敷地一坪の賃貸価格に相応する別表一坪の賃料の敷地坪倍の合計金額をもつて、新統制額とせられた。これを本件家屋にあてはめると、(1) 家屋の賃貸価格は五百六十二円、その二・九倍(本件賃貸借が昭和十二年に成立せることに争なきによる)の金額は千六百二十九円八十銭であり、(2) 右家屋の敷地百十一坪四合五勺を包含する本件地番の土地全部の坪数百三十六坪の賃貸価格は六円六十五銭であるが、これは公簿上地目畑となつているからであつて、公簿上にも事実の通り宅地となつている隣地の賃貸価格は坪当り五円十銭であるから、これに準じて物価庁告示別表によると一坪の賃料は九円十四銭となるから、その敷地坪数百十一坪四合五勺倍は、千十四円二十銭となり、本件家屋の賃料統制額は、右(1) (2) 合計二千六百四十四円となる。被控訴人は、控訴人主張の解約申入は無効だと主張するので、控訴人は、もし被控訴人主張のとおり無効であるとするならば、との仮定のもとに、昭和二十六年二月九日被控訴人にたいして、昭和二十三年七月一日から昭和二十五年七月末日までの停止統制価格による賃料合計一万八千九百九十九円九十六銭を昭和二十六年二月十四日までに支払われたき旨催告したけれども、被控訴人は、これに応じなかつたから、控訴人は右催告期限の後同月十七日本件賃貸借を解除する旨の意思表示をした。被控訴人主張のとおり賃貸借が続いていたものとすれば右の賃料は当然支払わるべきものである。

被控訴人はその弁済供託をした旨主張し(数額は異るも)、控訴人はその通知を受けたが、供託書の送付はない。供託書の送付がなくては供託金を受領することはできないから、被控訴人主張の供託は弁済の効力を有しない。のみならず、控訴人は賃料の受領を拒絶したことはないから、この点からも、被控訴人の供託は弁済の効力を有しない。しかし前記催告にあたつては、被控訴人から右催告にたいして供託書の送付があるならば、便宜その供託金を控訴人にて受領して、右催告の賃料に充当すべき旨も、あわせて記しておいたのに、なお被控訴人はこれに応じなかつたのである。右供託の事実は、被控訴人が賃料支払義務を認めている証拠であるから、前記催告および解除の意思表示によつて、本件賃貸借は解除されたこと明らかである。被控訴人は前記催告に応じない理由として、「賃料として受け取るならば支払うけれども、損害金というから支払わないのだ」というかも知れないが、控訴人の前記催告は、賃料として支払を求めたものである。ただ、将来判決で、賃貸借はすでに消滅した、と判定されるならば、支払を受くべきものは、損害金となるが、その金額は同じであるから、この支払金を損害金に充当すれば、被控訴人には少しも損害がない旨をも催告書に記しておいた次第である。本件賃貸借の成立は昭和十二年四月九日(甲第四号証作成の日)である。原審で同年七月十六日と主張したのを変更する。敷金千円(保証金ともいう)の授受も同じく四月九日なり。原判決事実摘示中つぎのとおり訂正して主張する。(1) 原判決二枚表終より三行目「昭和十二年」の次の「被控訴人を信頼しその要求どおりの増築までして同人を同家に迎えたのである。右賃貸借の成立は、控訴人家のキング商会の営業を廃する前であつて、本件家屋に商品を陳列して販売していたのをやめて、被控訴人に賃貸したのではあるが、その時は、まだ廃業したのではない、と訂正する。(2) 二枚目五行目、小泉方の一室にではなく、小使室である六畳と三畳との二室に、と訂正する。(3) 二枚目裏八行目家財道具の大半を失いとあるを、ほとんど全部を失い、と訂正する。(4) 二枚目裏終から三行目、亡操の実弟、の次に、その家族たる、を加える。(5) 三枚目表終から六行目、医療設備も不十分、を医療用具を使用せざること久しく、と訂正する。(6) 三枚目表終から三行目、正当な理由が存するので、を、当事者の予想しなかつた不可抗力による事情変更により、控訴人一家の生命維持のため、自己使用のためなる正当の理由存するので、と訂正する。(7) 四枚目表終から二行目、被控訴人の主張事実中、被告は高額の支出をして医院向に家屋を模様替えし、かつ、手術室、入院室を増築し、とあるも、被控訴人から右のごとき主張はなされず、階下の広間に間仕切りをした、と主張されただけである。手術室、病室の増築は亡操がしたことは当事者間争がなかつたのである。なお、当審において、つぎのとおり主張を追加する。昭和二十三年法律第二〇五号医療法の制定により、病床二十以上を設備しなければ、病院として許可されず、二十未満の病床を設けても入院患者を收容するを許されず、二十四時間以上当該医院におくことを許されないことになつた。右法律の施行は従来の開業者には昭和二十六年十一月まで猶予されているが、同月限り、被控訴人は本件家屋の病室は病室としてこれを使用することができず、また、手術後二十四時間以上患者を同所に安静收容しなければならない程度の手術は行い得ないことになるのである。

(被控訴人の陳述)

控訴人主張の賃料催告並びに契約解除の意思表示のあつたことは認める。しかし被控訴人は昭和二十三年七月十六日控訴人にあて、同月分を郵便小為替で送金したが、その郵便物は受取人所在不明で返送され、同月二十六日被控訴人方に来た控訴人にたいして、前記小為替並びに同額の現金を呈示し、どちらでもよいから受取つてもらいたいといつたが、控訴人は、同月から後の分は裁判できまるまで、絶対受領しないといつて拒んだ。供託書を交付しなくても弁済供託は有効で、これによつて債務者は債務を免れるのである。適正賃料額について、昭和二十三年七月から昭和二十五年七月までの分は、控訴人の主張を認めるが、同年八月から後は一ケ月千円と主張する。昭和二十五年七月十一日政令第二二五号によつて地代家賃統制令第二十三条が改正せられて、賃貸借の目的物が診療所である場合は値上げをしないことになつた。かりにそうでないとしても、同月から後の適正賃料は、(1) 本件家屋賃貸価格五百六十二円に倍率二・九を乗じた千六百二十九円八十銭、(2) 地代坪当一円五十七銭に森使用坪九十五坪二合九勺を乗じた百四十九円六十銭とを、(3) 物価庁告示の定めるところに従つて各端数を除外しきりすてて合計した金千七百七十九円が本件家屋の適正賃料である。

<立証省略>

三、理  由

別紙第一目録の建物(以下本件家屋という)及び第二目録の物品が、もと訴外吉岡操の所有であつて、被控訴人義駕は昭和十二年七月十六日右吉岡操から賃借し、引渡をうけて使用してきたところ、昭和二十一年一月十八日控訴人が右建物及び物品を右吉岡操から譲りうけて、被控訴人義駕との賃貸借を承継し、引きつずき被控訴人義駕に賃貸使用させてきたことは当事者間に争がない。

前記賃貸借の証書である甲第四号証および乙第一号証に「右家屋甲ハ乙ニ永久貸与申スヘキ事ヲ契約ス」(右家屋は本件家屋、甲は吉岡操、乙は被控訴人義駕を指す)とあつて、この「永久」について、契約当時吉岡操は波田才次郎や被控訴人に向つて、「永久」といつても法律では二十年が最長期間であるから、二十年の期間となる、その時は更新して貸すという意味だと説明したいというのが、原審及び当審における証人波田才次郎及び被控訴人義駕本人の供述である。しかし、契約当時吉岡操が民法の規定をよく知つていたなら期間を二十年として、更新し得べき旨を約するであろうし、また、両人が裁判官検察官弁護士というような法律家であつたとか、世に「三百」とよばれる類の人間であつたということは本件では現われていないから、そのような人間ではなかつたとしておくほかなく従つて右の民法の規定など知らなかつたであろうとみなければならないから、右波田才次郎や被控訴人本人の供述は、そのまますぐに信用するわけにはいかない。

そこで「永久貸与」の意味は右証人及び本人の供述をはなれて解釈せねばならないのであるが、「永久」ということばは永遠とか、または、「無始より無終に至る」というような表現と同様な限りなく、終りなき時間の意味に用いることもあるけれども、人が物を売つたり買つたり、家を貸したり借りたりするごとき日常の生活関係において、永久ということばを用いる場合には、単に「長い間」という意味であつて、その長さは場合場合によつてちがい、あるときは二年や三年よりは長いとの意味であり、またあるときは五年や六年よりは長いことまたはさらに長いこと意味するのである。従つて永久というは確定的な長さを意味しないのであつて、永久貸与といつたからとてすぐに、民法第六百四条第一項に二十年より長い期間をもつて賃貸借をしたと解することはできない。のみならず甲第五号証(乙第二号証)は前記証人波田才次郎の当審における証言によると、甲第四号証(乙第一号証)がよくできていない。即ち権利義務の関係が明瞭になつていないから、右波田才次郎が文案をして、操と被控訴人義駕に作成させた証書なのであるが、この証書の各条を検討し、ことに第十一条などに留意すると、甲第四号証(乙第一号証)に「永久貸与」というのは、「長くお貸しいたしましよう、長くお借りしましよう」という合意をあらわすもので、賃貸借の存続期間を定めたものではないと解するのが相当である。貸借をするにあたつて、被控訴人の希望、意見をしんしやくして医院向きに増築した事実は、当事者双方とも、相当長い貸借を予想したことをうかがうにたりる資料であるけれども、被控訴人主張のような存続期間を約定したと認めるにはたりない。

以上のとおりで、本件賃貸借には存続期間の定めがなかつたのであるから、賃貸人たる控訴人は、借家法第一条の二にいう正当の理由あるかぎり、解約申入の権能を有するものである。

昭和二十一年九月、控訴人は、被控訴人を相手取り横浜区裁判所に本件家屋の明渡を求める調停を申立て、同年十月十六日第一回調停期日に、当日出頭した被控訴人義駕本人のいるところで、右調停申立の趣旨を陳述した、という控訴人の主張は被控訴人の認めているところである。この事実は、控訴人から被控訴人義駕にたいして、本件家屋の賃貸借につき、解約の申入をしたものと認めるべきである。

そこで、右解約申入は正当の事由をそなえているかというに、原審証人吉岡直の証言、原審及び当審の控訴人本人尋問の結果並びに横須賀市長の証明書である乙第七号証を考え合せると、控訴人が同居させなければならない親族は長男重男、その妻及び重男の長女(昭和十年生)長男(昭和十三年生)二女(昭和二十一年生)の合計六人であり、その現に住居するところは、横須賀市旭町十六番地にある土木建築業小泉組(小泉岩吉)事務所の小使室で六畳三畳の二室からなり、右小泉岩吉が控訴人の困難に同情して、本件家屋に移転し得るまで、しばらくの間使用をゆるしているものであることが認められる。従つて、控訴人は自分の所有家屋がある以上、自らこれを使用することを必要とする状況にあることは明らかである。この自己使用の必要に正当の事由があるかというに、控訴人はすでに六十歳に近い老婦人で現に無職業であり、その長男重男は、少し前までには進駐軍の通訳をしていたが、今はその職を失い、雑役に従つており、前記世帶員が生きて行くためにはまず控訴人所有の家屋にうつり右重男になんらかの生業を営ませるほかなく、控訴人並びに右重男においては、ずつと以前に、吉岡操が本件家屋のとなりの家で営んでいた営業であり、かつ、右重男がそのみちの知識技能を有する営業であるラジオ商を営みたいと考えていることは、前記吉岡直、原審証人石渡喜市の証言、前記控訴人本人尋問の結果によつて、これを認めることができる。他方被控訴人の世帶は被控訴人両名だけであること、本件の弁論の全趣旨から明らかであり、被控訴人義駕が藤沢市に約五十坪の洋風建物に外科医院を開設しており、毎日診療のため同所へ通つているということは、原審証人吉岡直、同中村善雄の証言及び被控訴人の弁論の全趣旨から認められる。

右の事情を考えると、被控訴人義駕は、かりに本件家屋を失つても、藤沢の医院の家屋内に夫婦二人で住む施設をすることができると思われるから、そうなつても控訴人が現にうけている困難に比べれば、なお困りかたの程度は、はるかに低いと認めなければならない。のみならず、被控訴人義駕は本件家屋を失つても、その生業たる開業医を続けることに困難はないのに、控訴人は、自己所有の家屋にはいつた上でなければ生業を企画することもできない状況にあるわけであるから、控訴人がその生業のため自己使用を必要とする程度は、被控訴人がその医業のために本件家屋を必要とするよりはるかに高いといわなければならない。

このような事実関係である以上、控訴人の自己使用の必要は正当の事由あるものとみるのが相当である。被控訴人は、義駕が本件家屋で医院を開設していることをもつて本件家屋は公共の福祉のために利用せられており、控訴人の私的生活に利用するために明渡を求め得べきでなく、控訴人の主張は権利の濫用だというような主張をするが医療はこれを公営とすることはあるけれども、被控訴人義駕のごとき一般開業医の業は、どこまでも、私の企業であつて、公の施設ではない。それが間接に公共の福祉に役立つことは、農業者が耕作によつて米や麦を作り出し、社会一般に便益を与えていると同じことである。従つて、医療施設のための開業医の借家権が特に強く保護されるべきいわれはない。また、控訴人は本件家屋のとなりに家屋を所有しており、それは医院でも何でもないから、それの明渡を求めればよい。本件家屋の明渡を請求するのは失当で、これも権利の濫用であるように被控訴人は主張する。しかし、賃貸人に正当事由ある自己使用の必要がある以上、その所有の賃貸家屋のどれをえらんで解約申入をしようとも、それは所有者たる賃貸人の権能というべきである。ほかにも賃貸家屋があるということが、ある賃貸家屋についての解約権行使もさまたげるものとするならば、賃貸人が二以上の家屋を有し、二人以上の賃借人存する場合には、賃貸人はどの賃貸借についても解約権をもたない結果になるではないか。また賃借人の側からみると賃貸人が他に賃貸家屋を有しているという、賃貸人の意思にも、行為にも全然関係のない偶然の事情によつて、賃貸人が他に賃貸家屋を有しない場合よりも有利な地位になることは、道理に合わないではないか。賃貸人が数人の賃借人のうちある者に特に不当な不利益を与える目的というごとき害意にもとづいて、ある賃借人に対して解約申入をするというごとき場合でなければ解約権の濫用とは認められない。この点の被控訴人の主張も理由がない。

以上説明のとおりで、控訴人の前記解約申入は有効であるから、本件家屋の賃貸借は、昭和二十一年十月十六日から六月をすぎたときに終了したものといわなければならない。別紙第二目録の物品の賃貸借は本件家屋賃貸借に従たる契約であること弁論の全趣旨から明らかである。従つて、本件家屋の賃貸借と運命をともにすべきものであつて、本件家屋賃貸借が、解約により終了すると同時に、終了したものと認めるのが、相当である。従つて被控訴人義駕は控訴人にたいして、本件家屋並びに前記物品を返還すべき義務あるものである。

被控訴人園子が本件家屋に居住せることは、本件当事者間争がない。被控訴人義駕が前記のとおり、本件家屋を使用する権能を失つた以上、園子の本件家屋に住居する権原がないのであるから、控訴人にたいして、本件家屋から立ちのいて、本件家屋並びにこれに備えつけの別紙第二目録の物品を引渡すべき義務あること明らかである。

つぎに損害賠償請求について按ずるに、被控訴人両名は、本件賃貸借終了の後現在までひきつゞき本件家屋に居住し、現在にいたつたことは当事者に争なく、今後もなお居住をつゞけるであろうことは、弁論の全趣旨からうかがわれるところである。その間の被控訴人両名の占有は、それぞれ控訴人の所有権を侵害するものであるから、控訴人両名は、それぞれ右不法行為による損害賠償として、昭和二十三年七月一日から、それぞれ本件家屋明渡しずみまで本件家屋の適正賃料相当額を支払うべき義務あるものである。

本件家屋の適正賃料が一ケ月につき、昭和二十三年七月一日から同年十月十日までは二百五十円、その後昭和二十四年五月末日までは六百二十五円、その後昭和二十五年七月末日までは千円であることは、被控訴人の明らかに争わないところであるから自白したものとみなす。

昭和二十五年八月一日から後の適正賃料はいくらかというに、被控訴人は本件家屋については地代家賃統制令の昭和二十五年七月十一日政令第二二五号による改正の第二十三条によつて値上げされないことになつたから、やはり月千円であると主張するけれども、それは明らかに右法条の誤解であつて理由なき主張である。乙第二十三号証乙第二十四号証によると昭和二十五年八月十五日物価庁告示第四七七号による本件家屋賃料の統制額は一月につき千七百七十九円と認められる(これは、本件家屋の敷地坪数が九十五坪二合九勺であるとの被控訴人の主張を基礎として算出したものである。右敷地坪数が一一一坪四合五勺あるいは一〇七坪であるとの、控訴人の主張を認め得る証拠はない)。この統制額をもつて昭和二十五年八月一日から後の適正賃料額と認めるのが相当である。

以上の次第であるから、控訴人の損害賠償請求は、前説示の適正賃料相当額の限度、即ち主文第三項記載の範囲にかぎり正当であつて、その余は理由なしとしなければならない。

よつて、控訴人の請求を棄却した右原判決を取消し、損害賠償請求の右理由なき部分を除くほか、本件請求を認容すべきものと認め、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十二条但書第九十三条第一項但書、仮執行の宣言につき同法第百九十六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 斉藤直一 藤江忠二郎 猪俣幸一)

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