大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(ラ)176号 決定

一、当事者

抗告人 甲山太郎

右代理人弁護士 中山与三郎

二、主  文

本件抗告を却下する。

三、理  由

記録によると、前橋家庭裁判所は甲山一郎から甲山太郎(本件抗告人)にたいする遺産分割請求申請事件(同庁昭和二十五年家第一二四〇号)において昭和二十五年六月七日家事審判規則第百六条第一項による処分を命ずる審判をしたところ(同庁昭和二十五年(家)ロ第四号)、この審判の取消を求める意味の「管理命令取消の申立」をなし(同庁昭和二十五年(家)ロ第五号)、同裁判所はこの申立を却下する審判を与え、これにたいして本件抗告をした次第である。

ところで家事審判法、家事審判規則においては、審判にたいして抗告申立をなし得る場合は特にその旨の定めをおき、かかる定めのない場合には抗告申立を許さないたてまえであることは、右法律及び規則の全体をながめれば、はつきりと理解されるところである。

ところで家事審判規則第百六条第一項による処分については不服をゆるす旨の定めがなく、ただ同条第二項に「家庭裁判所は、相当と認めるときは、前項の処分を取消し、又は変更することができる」と定めるが、この規定は家庭裁判所に取消変更の権限を与えるだけであつて、当事者ないし利害関係人に取消変更請求権を与えるものではない。従つて、抗告人のした管理命令取消の申立は原裁判所にたいして職権の発動をうながす意味をもつのであつて、原裁判所はこれにうながされて取消変更を相当とするか否を考えてみて、相当と認めるときは職権によつて取消または変更をするであろうし、反対に考えた場合にはなんらの裁判をもしないでよいのである。本件におけるごとく申立を却下することは必要ではないのである。

すなわち原審判は家事審判法並びに同規則の上で必要としない審判であり、これらになんらのよりどころのない審判であるから、したがつてこれらについて抗告をゆるす旨の規定もないのは当然のことである。

よつて本件抗告は不適法であると認め、主文のとおり決定する。

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