大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)1603号 判決

次に第三回公判期日については裁判所が弁護人に予め其の通知を為したと認めるに足る事跡が記録に顕われていないけれども右期日は所謂判決宣告のみのための期日(刑事訴訟規則第二百十六条参照)であり、右期日の通知の如きは、仮に原審が弁護人に宛てて之を為さなかつたとしても其の弁論の機会を不当に与えなかつたものとは為し難く其の違法は判決に影響を及ぼさないものと謂うべきであるから、以上の点に関する論旨も採用するを得ない。

同第三点について。

差戻後の原審第一回公判廷において其の証拠調手続に入るにあたり刑事訴訟法第二百九十六条に所謂検察官の冒頭陳述の為されなかつたことは所論の通り記録に明らかであるが、差戻後の第一審の訴訟手続については通常の公判手続更新の場合におけると同様、必ずしも検察官に於て改めて冐頭陳述を繰返して為すの必要はないと解されるから、差戻後の原審に於て右手続の履践されなかつたことを違法なりとは謂い難く又原審が差戻後の第一回公判廷において差戻前の原審各公判調書、同証人訊問調書、同検証調書並に同公判廷で取調べられた証拠書類等につき職権をもつて証拠調を為した際箇々の証拠について被告人に意見弁解を為す機会を与えたか否かは記録上詳かでないが、仮に原審が右機会を与えなかつたとしても其の差戻後の手続の性質上之を違法なりとは即断し難く却て被告人が其の後裁判官から立証を促され其の機会を与えられたに対し何等新しい証拠もなく反証として取調を請求するものもない旨を陳述して居ること及び前記箇々の証拠については被告人並に弁護人に於て既に差戻前の原審公判廷で詳細に意見を述べ弁解を為して居ること等が記録によつて認め得られるのであるから、其の手続に違法の点ありと為すに足りない。

更に、原審が訴因罰条の変更を命じたと認むべき事跡は所論の通り記録上何等顕われて居ないのであるが、所論器物毀棄罪の点については、原審が其の判決を為すにつき何等訴因罰条の変更手続を履践するの必要のないものであるから、之を為さなくとも其の手続を違法なりと為し難いことは勿論であり、以上諸点に関する論旨も凡て採用出来ない。

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