大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)1918号 判決

原判決が被告人伊藤に対し、同人の判示第一の所為と同第二の所為とが一所為数法の関係にあるとして、刑法第五十四条第一項前段を適用していること、及び、判示第一の同被告人が、選挙運動の費用等として金一万円の供与を受けた所為自体が選挙運動ではないと解すべきことは、いずれも所論指摘のとおりであつて、従つて、同被告人の右判示第一の所為は、単に公職選挙法第二百二十一条第一項第四号、第二項(刑法第六十条)に該当するのみであり、判示第二の所為は、同法第百三十六条、第二百四十一条第二号に該当するのみであるから、同被告人の右判示第一の所為と判示第二の所為とは、刑法第四十五条前段の併合罪であつて、一所為数法の関係ではないと言わなければならない。してみれば、原判決が、同被告人に対し、併合罪の規定を適用することをしないで、前示のように、刑法第五十四条第一項前段、第十条を適用処断したのは、明らかに、法令の適用を誤まつたものと言うべく、なお、右併合罪の規定を適用すると否とではいわゆる処断刑が違つて来る訳であるから、右法令適用の誤りは、判決に影響を及ぼすことも亦明かであると言わなければならない。よつて、論旨は理由があり、原判決はこの点において破棄を免れない。

(弁護人控訴趣意)

(二)の(2)

判示第二は被告人伊藤が選挙管理委員会の委員で選挙運動をすることができないのにかゝわらず、判示第一の通り金員の供与を受け、且つ推薦状三十枚位を発送し、以て選挙運動を為した事実を認定してこの事実と判示第一の事実とは一所為数法の関係にあるとして刑法第五四条第一項前段を適用しているが、判示第二の前段即ち被告人が選挙運動の費用等として金壱万円の供与を受けた所為自体は選挙運動ではない。このことは判例のつとに示すところである。従つて被告人伊藤の右金員の供与を受けた所為は単に公職選挙法第二二一条第一項第四号、第二項に該当するのみであつて同法第一三六条、第二四一条第二号と一所為数法の関係にないのである。

又判示第二の後段即ち推薦状を発送した所為は選挙運動であるから、これに対し公職選挙法第一三六条第二四一条第二号を適用するのは相当であるが、本件所為と判示第一の所為とは併合罪にして一所為数法の関係にないことは極めて明白である。然るに原判決は判示第一と第二とを一所為数法の関係にあるとして刑法第五四条第一項前段第一〇条を適用したのは明らかに法令の適用を誤つたものである。

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