大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2169号 判決

本件控訴の趣意は末尾に添付した弁護人の控訴趣意書と題する書面のとおりで、これに対し当裁判所は次のとおり判断する。

第一点

原審第一回公判調書によれば、被告人の供述として、本件は酒の上でやつた旨の記載の存することは所論のとおりである。しかし原審が取り調べた証拠に現われた事実によれば、被告人は本件犯行当時飲酒酩酊はしていたが未だ心神喪失は勿論耗弱の状況にも達していなかつたことが認められる。而して右供述だけではこれをもつて所論のように「酒を飲んで酔つてしまつたので完全なるべき理性を失つたので斯る犯行をなした」旨の主張と解釈して、刑事訴訟法第三三五条第二項に所謂法律上犯罪の成立を妨げ又は刑の減軽の理由である心神喪失又は耗弱に関する事実上の主張とは認めることはできない。しからば原審がこの点について判断をしなかつたのは当然であつて、同条の規定に違反するものではない。原判決には理由不備の違法は存在せず、論旨は理由がない。

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