大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2284号 判決

所論証拠調の請求に係る証拠が如何なる証拠であるのか、所論公判調書の記載のみによつては、明らかでないことは洵に所論のとおりである。純粋に訴訟手続に関する面は暫く措くも、事苟くも、証拠を中心とする実体面に関する手続に属する限り、被告人運命の安危に関し、その防禦の帰趨に影響するところが極めて大であるから、該手続に関し刑事訴訟法の命ずる方式は、すべてこれを厳格に遵守しなければならないと同時に、その手続の経過はできる限りこれを調書に明確に表示するを相当とするところであつて、所論証拠の表示の仕方については洵に妥当を欠くものがあるけれども、検察官が証拠調の請求をした書類は、一般にこれを当該公判期日における公判調書の直後に編綴することに思いを致すときは、該調書を公判期日に即日作成するに際し、その編綴した証拠を記録の丁数をもつて表示することは必ずしも不可能なことではないのであるから、所論公判調書に検察官の証拠調請求に係る証拠として表示された所論丁数の記載をもつて直ちに不分明且つ違法なものとするは当らない。原審第一回公判調書記載の所論記録の丁数と同調書の直後に接続して編綴されている書類とを彼此考察するときは、同丁数に該当する書類が、検察官において公訴事実の被害事実及び本件犯行並びに被告人の情状を立証するため証拠調の請求をした証拠であることが窺い得られる。殊に原判決が証拠に引用している武田茂六、塚越福次各作成名義の被害届は、検察官が冒頭に陳述した立証趣旨に比照して考察するときは、優に該被害届の証拠調請求があつて、これにつき、適法な証拠調の施行されたことが認められる。果して然らば、原審公判調書における証拠の表示の仕方に極めて妥当を欠くもののあることは前段説示のとおりではあつても所論の事由をもつて、原審における訴訟手続に、原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違反があるとするを得ないし、亦原審における証拠の取調請求を不適法であるとすることもできない。論旨は採用し難い。

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