大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和26年(う)2410号 判決

原判決は其の判示第一事実として「被告人は免許を受けないで昭和二十六年三月六、七日頃自宅で焼酎製造販売の目的で麹三斗三升位を製造し」と認定し、更に判示第二事実に於て「同様免許を受けないで居村土屋弁次郎方小屋で焼酎製造販売の目的で、米麹を原料として酒精分十二・四度の焼酎の原料である醪一石五斗六升五合を製造したものである」と認定し、右判示第一、二事実は刑法第四十五条前段所定の併合罪であるとして処断したのである。然るに論旨は右第一の所為は第二の行為の手段であり、両者の関係は犯罪の性質上通常用いられる手段と結果の関係にあるものであるから刑法第五十四条第一項後段を適用すべきもので右刑法第四十五条前段によるべきものではないと主張するのである。よつて按ずるに原判決が証拠に供した告発書の記載によれば、元来被告人は麹を四斗三升作り内一斗を判示第二の醪製造に使用し残り三斗三升を所持していたものであることがわかる。即ち原判決は被告人が製造した麹中判示第一認定の三斗三升は現実に焼酎製造に供するに至らなかつたのであるから、判示第二との関係に於ては刑法第五十四条第一項後段の関係を構成しないものと認めたものと思はれるが。以上の如き事実関係にあり且原判決も判示第一の麹製造の所為は判示第二の焼酎(醪)製造の手段であると認めた以上は右判示第一、第二事実は刑法第五十四条第一項後段に所謂牽連犯として律すべきものと認められる。然らば原判決は此の点に於て法律の適用に誤りがあり破棄せらるべきものである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!