大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2585号 判決

按ずるに、裁判所は起訴状記載の犯罪事実について審理し証拠調を行つた後において、検察官の請求により刑事訴訟法第三百十二条に基き訴因及び罰条の予備的追加を許した場合においては、従前の審理により適法に公判廷に現われたすべての証拠によつて予備的追加にかかる訴因に該る犯罪事実を認定し得るのであつて、右追加手続以後において取り調べられた証拠のみが追加訴因たる犯罪事実認定の証拠となり得るものでは決してないのである。

本件記録を精査するに原判決挙示引用の各証拠中被告人の自白以外のものはいずれも原審第六回公判期日における前記訴因及び罰条の予備的追加の請求の行われた以前において起訴状記載の訴因たる窃盜の事実の審理手続において原審公判廷において顕出されたものであり、右予備的追加以後においては特段の証拠調が行われていないことは所論のとおりであるが、前段説示のとおり、右予備的追加以前において適法に取り調べられた証拠はすべて右追加訴因の証拠となし得るのであるから、原判決が予備的追加にかかる訴因たる占有離脱物横領の事実認定の証拠として挙示する被告人の原審公判廷における自白以外の証拠の証拠能力を否定すべき何等の根拠がないと言わねばならない。而して原判決は右証拠により適法に被告人の右自白を補強しているのであるから、原判決には被告人の自白のみによつて有罪の事実認定をなした違法は毫も存しない。

それゆえ原判決には所論のような違法はないから論旨は理由がない。

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