大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2609号 判決

本件記録を精査するに、昭和二十六年三月二十八日附上田税務署收税官吏大蔵事務官加藤辰治作成のアルコール分容量検定書の記載によれば、差押番号十七及び十八の醪のアルコール指示度及び換算酒精分はいずれも零度であつて、アルコール分を含有していないものと検定されたことは所論のとおりである。

然しながら酒税法第六十条第一項に所謂「醪ヲ製造シタル者」とは醪を製造しようとして、その原料を仕込んだ上必要な攪拌をする等醪製造に要する諸般の手続を完遂した者を指称するのであつて、かかる行為を完了したときにおいて醪製造の行為は既遂に達し、その醗酵作用が行われたか否かを問わないのである。従つて被告人の仕込んだ醪からアルコール分を検出するに至らなかつたとしても、既に被告人が醪製造に要する諸般の手続を完了したことが原判決挙示引用の証拠により認められる以上、被告人の原判示所為は明らかに酒税法第六十条第一項にいう醪を製造したものと謂うべきであつて、同法第六十二条第一項第一号にいう準備の程度に止まるものとする弁護人の主張には到底賛成できない。

それゆえ原判決には所論のような法令の適用の誤がないから、論旨は理由がない。

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