大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)3457号 判決

刑事訴訟法第三百三十五条第一項に法令の適用を示すとは、認定した犯罪事実に法条を擬律し、加重減軽の事由あるときは、その法令の根拠を示し如何なる刑期又は金額の範囲内で、主文の刑及びこれに附随する事項が量定処断されたかを理解し得る程度に明示することを要するのであるから、犯罪事実と法令適用の複雑なときは単に法令を羅列しただけでは足らない場合があることは勿論であるが、犯罪事実及びその法令適用が簡単な場合には法令を羅列しただけで、主文のよつて来る所以を充分に説明し得る場合もあるのである。従つて常に必ずしも法令適用の順序関係を明かにし、逐一説明的に記載するを要せず、法令を羅列するを以て足る場合もあるものと解すべきである。

これを本件について見ると、所論の通り、犯罪事実として第一、詐欺、第二、詐欺、第三、有価証券偽造行使詐欺未遂、第四、詐欺、第五、窃盜、第六、偽造有価証券行使詐欺、第七、窃盜、第八、詐欺、第九、詐欺の各事実を認定し、前科事実を掲げ、法令の適用として、刑法第二百四十六条第一項、第百六十二条第一項第百六十三条第一項第二百四十六条第一項第二百五十条第五十四条第一項後段第十条、第二百三十五条、第百六十三条第一項第二百四十六条第一項第五十四条一第一項後段第十条第五十六条第一項第五十七条第四十五条前段第四十七条第十条第十四条第二十一条を掲げているのであるが、右犯罪事実と右法条とを対照すると、犯罪事実が簡単であるから、右第一、第二、第四、第八、第九の詐欺の事実には刑法第二百四十六条第一項を、第三の有価証券偽造行使詐欺未遂の事実には同法第百六十二条第一項第百六十三条第二百四十六条第一項第二百五十条第五十四条第一項後段第十条(牽連犯として重い偽造有価証券行使罪の刑に従う趣旨と認め得る)第六の偽造有価証券行使詐欺の事実には、同法第百六十三条第一項第二百四十六条第一項第五十四条第一項後段第十条(同様牽連犯として重い偽造有価証券行使の刑に従う趣旨と認められる)第五、第八の窃盜の事実には同法第二百三十五条をそれぞれ擬律し、各累犯加重し、重き偽造有価証券行使罪の刑に併合罪加重をして、その刑期範囲内で主文掲記のように被告人を懲役二年に処し、未決勾留日数を算入したことを理解することができるから、原判決の法令の適用には所論の違法はないものと解せられる。

所論は理由がない。

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