東京高等裁判所 昭和26年(う)3485号 判決
よつて按ずるに、原判決挙示の証拠によれば十分原判決認定の事実を認めることができる。
而して原審公判廷における証人裵淳武の供述を検討するに所論のように「自分の物を預けたとき」云々の表現はされていないことはそのとおりであるが、同証人の供述記載を通読すればその供述中には裵淳武は自己の密造した焼酎を被告人に預けた趣旨の部分が存するので、原判決はこの部分をとらえて「自分の物を預けたとき」と説示したものであることは明瞭である。
又酒税法第五三条第六二条第一項第三号に所謂密造酒の所持罪は所論のような所持のみに限らず、本件のように酒類の密造者がその密造酒を捜査官から発見されることを防ぐため隠匿方を依頼されて一時預り保管するような場合も包含するものと解するを相当とし、
原審が取り調べた証拠に現われた事実によつては所論のような事実を認めて原審認定を覆すには足らず、原判決には事実の誤認は認められない。
論旨はすべて理由がない。