東京高等裁判所 昭和26年(う)4006号 判決
〔抄 録〕
第一点について。
原告第六回公判調書によれば、原審は裁判官がかわつたので公判手続を更新し、曩に証拠調をした書面の意義が証拠となる証拠物である所得税徴収簿及び所得税個人別徴収簿の取調をするに当り、之を示したのみであつて之を朗読していないことは所論のとおりである。しかしながら原審第三回公判調書によれば同公判において右証拠物は検察官によつて之を示した上朗読せられて被告人及び弁護人にその内容は了知せられており、又右証拠中被告人Aに関係あるは甲に関する部分のみで所要事項が記入出来るよう印刷されてある個所に甲の氏名と所要の数字等を記入した内容極めて簡単なものであつて、裁判官においてもその内容は一見して了解せられ、且つ被告人及び弁護人においても異議がなかつたのであるから、右のように朗読が省略されていても差支えないものと言わなければならない。論旨は理由がない。