大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)4088号 判決

本件起訴状第二の(二)には、被告人渡辺国治に対する公訴事実として、被告人飯盛三吉と共謀の上昭和二十四年十月二十七日東京都中央区木挽町四丁目二番地ミルクホール工藤与八方において現金二十万円を横領した趣旨の事実を挙げ、もつてこれが審判の請求をしているのに対し、原審が右同日被告人飯盛三吉と共謀の上株式会社千代田銀行築地支店において金四十三万千五十円の小切手の支払を受け、もつて同額の金員を横領した旨の事実(原判示第三、(二)の事実)を認定していることは洵に所論のとおりである。よつて考察するのに、右公訴事実と右原判示事実とは、各その事実の態様に照らし相互に事実を同一にするものであることは認められないわけではないが、右原審の認定は被告人に対し右公訴事実よりは明らかに実質的に不利益であるから斯かる事実を認定するがためには、宜しく刑事訴訟法第三百十一条第二項に従い適式な訴因変更の手続を為し、もつて被告人の防禦に実質的な不利益の生ずることなきを期さなければならない。

然るに、記録を精査するも原審において、右訴因変更の手続をした事跡は認められないから、原審は全く被告人の意表に出で、敢て訴因を変更しよつて被告人の不利益に事実を認定したものであつて、正に訴訟手続に法令の違反ある場合に該当し、この違法が原判決に影響を及ぼすべきこともまた洵に明白であるから、原判決はこの点において到底破棄を免れない。

所論は理由がある。

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