東京高等裁判所 昭和26年(う)4095号 判決
所論現行犯人逮捕手続書の記載によれば、本件被害者諸橋政太郞は本件犯行直後その加害者たる被告人を追跡し、小林菓子店前でも更に第三者に対して「すり」行為に及んだ被告人を逮捕したものであることが明らかであつて、被告人に対する逮捕は、右第三者について現行犯人の逮捕たることはもとより、本件被害者についても現に罪を行い終つた現行犯人の逮捕と解すべきものである。本件犯行の現場から右小林菓子店前までが所論のように百五十一尺あるからとて、逮捕者の追跡が右のように継続している以上、該距離は、右判断の妨げとなるものではない。本件逮捕は、適法であり、右現行犯人逮捕手続書は、所論のような証拠能力を欠くものではない。従つて、原判決は、所論のように虚無の証拠によつて事実を認定したものではない。
論旨は、理由がない。