大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)4472号 判決

原審証人白川甚造の第四回公判期日における供述と原判決挙示の証拠(一)の白川甚造の検察官に対する供述調書謄本及びこれに援用添附された同人作成の取引買(売の誤記と認める以下同様)一覧表抄本とを対照すれば、公判期日における供述は前の供述である検察官に対する供述とは実質的に異つたものであることは明白であるが、原審弁護人は所論の理由によつて右検察官に対する供述調書謄本及びこれに援用添附された同人作成の取引買一覧表抄本を証拠とすことに同意しなかつたことも本件記録に徴して明白である。よつて同人の検察官に対する供述の方が公判期日における供述よりも信用すべき特別の情況の存するものであるかどうかにつき按ずるに、同人の公判期日における供述は要するに被告人との綿糸の取引については覚えがない、はつきりしないという趣旨であるのに、検察官に対する供述中には、自分が検挙された当時は早く釈放され度いため金の出入のある限りすべて取引が成立したように一応申していたが、それでは取引の相手方にも申訳がなく、留置場を出てから相手方とも打ち合せよく調査し、決していつわりのないと思われる取引だけをまとめて今一度警視庁の取調をうけ度いと思い再取調を願つたのである。その結果本年(昭和二四年)八月一〇日附をもつて違反取引合計説明書と云う見出で売りと買いの総取引数量及び金額等を一覧表にして差し出した。この表に書いてある通り間違いはない。この説明書というのが只今示されたものである旨の供述が存するので、同人の検察官に対する供述は公判期日における供述と対照して見ても誠に自然であつて自己の非を認めて間違いのないと思うところを述べたものと認められるこのようなのは正に公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するものと認めるのを相当する。しからば原審が右白川甚造の検察官に対する供述調書及びこれに援用添附された同人作成の取引買一覧表抄本を証拠として取り調べてこれを採用したのは採証の法則を誤つたものとは認められない。

論旨は理由がない。

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