大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)4632号 判決

よつて、考察するのに、原判決挙示の証拠によるときは、原判示物件が原判示所為当時日本国の所有であつたことは明白にこれを認めることができると共に当時被告人にその旨の認識のあつたことはこれを推認し得るものがあるけれども、大蔵省関東財務局横須賀管財支所乃至は国と右物件との間に所論所持の関係、換言すれば同支所乃至は国の右物件に対する事実上の支配関係があつて、被告人においてこれが所持を奪つたことの明白な証左なく、寧ろ却つて、原審が適法に取調べた証拠を綜合して考察するときは右物件は国乃至その機関の所有権抛棄の意思に因らずして国の占有を離れた埋蔵物であり、被告人はこれを擅に売却横領したものであることの事実を認め得るに足る。果して然らば、原審は日本国の右物件に対する所持関係の存在を認むる趣旨をもつて原判示事実を認定して刑法第二百三十五条所定の窃盗の罪をもつて問擬したことは事実の誤認乃至は法令の適用を誤りたるに帰し、且つこの誤が原判決に影響を及ぼすべきこともまた明らかであるから、原判決はこの点において到底破棄を免かれない。論旨は究極において理由がある。

よつて、刑事訴訟法第三百九十七条に則り原判決を破棄すべく、なお、当裁判所は同法第四百条但書所定の場合に該当するので、被告事件について更に判決するのに、左記事実を認定して、法令適用の上、主文のとおり判決する。

罪となるべき事実。

被告人は、元陸軍軍用地で終戦以来進駐軍に接収されていた横須賀市大津百五十番地の国有地の一時使用方を黙許され耕作中、昭和二十五年三月初旬頃から同年五月九日までの間数回に亘り同地中に埋没されていた元陸軍軍用施設であつた国有財産で、終戦当時関係帳簿を焼却したため国乃至はその機関に所在不分明のまま右国有地中に埋没されていた被鉛ゴムケーブル線合計十一貫匁を掘出して占有中、同月十一日同所において擅にこれを古物商原田俊助に対し代金千三百五十円で売却し、もつて国の占有を離脱したその所有物件を横領したものである。

(以下略)

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