東京高等裁判所 昭和26年(う)4661号 判決
原判決が検察官又は検察事務官の認証文附きの各種の証拠物たる文書の写真の存在及びその記載を証拠として挙示利用していることは論旨の指摘する如くであり、原審はこれらを刑事訴訟法第三百二十三条第一号の書面たる証明文附き証拠物として展示及び朗読の方法により証拠調を履践しているのであるが証拠物の写真はそれ自体証拠物と解すべきであるから写真自体に証拠能力を認むべく又前記認証文は刑事訴訟法第三百二十三条第一号にあたる書面たることは勿論でありこれを証拠とするにつき被告人又は弁護人の同意を要さないことは固よりであるから原審が被告人及び弁護人の同意しないのに拘らずこれが証拠調を施行し且つこれらを証拠として判決に挙示引用していることは何等違法とは認められない。しかも右各認証文によれば前記各写真はいずれも他事件の証拠物として各地方検察庁において差押えたものを当該検察庁において撮影したものに係りその原物の存在及び作成の真実であることは疑の余地はないから撮影者を一々法廷において証人として尋問することなくこれに原物と同一の証拠価値を認めた原審の措置は証明力の価値判断の点においても何等経験則に反するものではない。従つて本体の証拠物の写真には証拠能力なしと主張する論旨は採用できない。それゆえ論旨は理由がない。