大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)6178号 判決

原判決がその理由において、判示第二事実として「同月十日頃の午前十時頃前記作業場休憩所附近において、前記青木俊郎に対し『けふは君を手で殴るのは措しいから棒で殴つてやる』『百円貸してくれ』などと申向け、若しその要求に応じないときは身体に危害を加え兼ねない態度を示して同人を脅迫畏怖せしめ「因て同日正午頃同作業場において同人より現金百円の交付を受けて之を喝取したものである」との事実を認定していること、及び右恐喝に使用したと察せられる「棒」が証拠に示されていないことは、いずれも、所論のとおりであつて、犯罪事実を認定するに当り、その犯罪行為の用に供した物件がある場合には、できることなら、その物件を証拠に示すことが望ましいことは勿論であるけれども、しかしこのような物件は必ずこれを証拠に示さなければ、その犯罪事実の認定が違法になるというものではなくて、他の証拠によつて該犯罪事実を認めることができる以上は、右のような供用物件は、必ずしも、これを証拠に示すことを要しないものといわなければならない。而して、原判決の判示第二の事実は、各所論の点をも含めてすべて、その挙示する証拠によつて、これを認め得られない訳ではないから、原判決が前示のように右の「棒」を証拠に示さなかつたからといつて、所論のように証拠によらないで事実を認定した違法があるものということはできないし、なお記録を精査検討してみても、原判決に所論のような判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認があることは認められない。

故に論旨はすべて理由がない。

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