東京高等裁判所 昭和26年(う)870号 判決
原審第一回公判調書に依ると、検察官は同公判廷において所論証拠書類の取調を請求し、裁判官は全部これを取調べる旨を告げ、検察官がこれを裁判所に提出した旨が記載されている。しかるにそれらの書類が所論のように記録に綴り込まれていないことは記録上明白である。この点において原審の訴訟手続には違法の廉があると謂わなければならない。而してその結果、裁判官が右の証拠を事実認定の資料に供することが不能の状態に陥つたことが推断せられるから、右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は此の点において既に理由があり原判決は刑訴法第三九七条によつて破棄を免れない。