大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ネ)2096号 判決

ところで成立に争のない乙第一号証によると、控訴会社の営業目的は、控訴会社主張のように鉱物の採掘、売買等及びこれに附帯する一切の業務であることが明りようである。しかし、原審証人岩佐忠利の証言と当審証人前田千代吉、桃井二男の各証言の一部とをあわせ考えると、本件取引がなされた昭和二十一年十二月当時、控訴会社はその目的たる鉱山関係の事業が思わしからず、資金にも欠乏し、ために種々の物資を集めて他に売るというブローカー的仕事をして会社の維持をはかつていたことがうかがわれ、本件取引においても控訴会社はこの取引から得た金員を会社の経費にあてたものであることは右に認定したとおりである。

およそ会社は定款の定める目的の範囲内においてのみ権利を有し義務を負うものであることは商法第五四条、民法第四三条の規定により明白なところであるが、右目的の範囲内とは、広く目的たる事業を遂行するに必要な事項をも包含するものと解すべきものである。

したがつて本件において、控訴会社がその本来の目的たる鉱山関係の事業が不振で収入がなく、その営業所賃借料や社員の給料の支払等に困難し、その資金を支弁するためになした前示のごとき取引は、すなわち控訴会社の目的たる事業を遂行するに必要な範囲の行為と解してさまたげなく、控訴会社はこの取引から生じた義務を履行する責任あるものである。

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