東京高等裁判所 昭和26年(ネ)550号 判決
職権を以て記録を調査するに、本件第一審においては、控訴人郡山五郎を原告、控訴人矢尾徹を被告とし、本件家屋中控訴人矢尾徹占有部分(以下本訴家屋という)の明渡を求める東京区裁判所昭和二十年(ハ)第二〇六号家屋明渡請求事件の係属中、控訴人相沢利一において、控訴人郡山五郎から右家屋を譲受けたことを理由として民事訴訟法第七十一条の規定により右当事者双方を相手方として当事者参加をなし(同庁昭和二十一年(ハ)第三〇五号)、その後裁判所法施行令(昭和二十二年政令第二十四号)の施行により右訴訟は東京地方裁判所に係属することとなつたが、次いで被控訴人において、控訴人相沢利一から右家屋を譲受けたことを理由として前同一法条の規定により右訴訟の当事者である控訴人三名を相手方として当事者参加をなし(同庁昭和二十三年受理)、更に控訴人矢尾徹より被控訴人を相手方として、本件反訴(同庁昭和二十五年(ワ)第一八九九号)の提起に及んだものであるところ、原裁判所は、右各当事者間に存する係争全部につき一個の判決を以て、被控訴人の各控訴人に対する請求を認容し、控訴人郡山五郎、同相沢利一の各請求、控訴人矢尾徹の反訴請求をいずれも棄却する旨言渡し、右判決に対して控訴人矢尾徹だけから、その敗訴の部分につき本件控訴に及んだものであることが明らかである。
ところで控訴人矢尾徹の控訴状及び昭和二十九年九月二日付控訴趣旨訂正申立書には、被控訴人として原審当事者参加人の一人である被控訴人だけを表示し、その他の当事者の表示を欠いているけれども、元来民事訴訟法第七十一条の規定による当事者参加においては、原被告及び参加人間の争を矛盾抵触なく一挙に解決する必要から同法第六十二条の必要的共同訴訟の特則を準用しているのであるから、右訴訟における被告矢尾徹が相手方のうち被控訴人だけを相手方としてなした本件控訴の申立は、同法条の規定によりその他の各当事者に対しても効力を生じ、右各当事者間に存する争は全部控訴審に係属し、控訴裁判所の審理の対象となるものというべく、従つて本件における原審の原告郡山五郎及び参加人相沢利一はいずれも控訴人矢尾徹のした本件控訴により控訴人としての地位を取得したものである。
(斎藤 坂本 小沢)