東京高等裁判所 昭和26年(ラ)179号 決定
抗告代理人は、その抗告状において、原裁判所のなした決定に対しては全部不服であるから「原決定を取消す。相手方が抗告人に対してなした昭和二十五年七月十五日附解雇の意思表示はその効力を停止する。訴訟費用は第一、二審共相手方の負担とする。」との決定を求める。抗告理由は追つて抗告理由書を以て陳述する、と申立てながら、今日に至るまで抗告理由書を提出しない。
当裁判所は原審記録にあらわれた当事者双方の主張及びその提出した疏明方法を調査するに、抗告人には、原審が認定したとおり、相手方会社就業規則第百十八条第三、第六、第八各号所定の事実があり、労働基準法第二十条第一項但書後段の事由があるものと認めることができ、相手方会社がその懲戒委員会の諮問を経たことも原審のとおり認定できるから、同法第二十条第三項、第十九条第二項による行政官庁の認定がなかつたとしても(相手方が柏崎労働基準監督署長に宛て右認定の申請をしたことは記録上認めることができる)、抗告人に対する本件解雇が無効であるということはできない。したがつて右解雇が無効であることを前提とする本件仮処分申立は理由がなく、これを却下した原決定は相当であつて、本件抗告は理由がないから、民事訴訟法第四百十四条、第三百九十六条、第三百八十四条を適用して、主文のとおり決定する。
(裁判官 柳川昌勝 浜田宗四郎 菅野次郎)