東京高等裁判所 昭和27年(う)1106号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(判旨)
甲は進駐軍の自動車運転手として中央区築地所在のモータープールに所属していたものであるが、自動車にガソリンを入れる際は進駐軍兵士の面前で入れ(但夜勤の際は運転手のみで入れる)ガソリンの受渡しは進駐軍兵士の面前で日本人係員がデイスパツチに記録してこれをなし、業務修了後はガソリン使用量の適否について一、一検査を受け自己の運転する車のガソリンと雖も運転手が勝手に処分することは許されないと謂うのである。これによつて見れば進駐軍自動車の運転手は自己の運転する自動車に詰めてある自動車用のガソリンを自由に支配し得る状態にないのであるからその占有は依然として当該進駐軍部隊に存するものと認むべきであり従つて進駐軍自動車の運転手が自己の運転する自動車に詰めてある自動車用ガソリンを他人に売却して拔き取らせたときは窃盜罪が成立するものと謂はなければならない。
(説明)
この問題は既に貨物列車の車掌が貸切扱の貨車の封印を破つて中のものを領得する行為、集配人が配達中の郵便物の中味を領得する行為―保管者が保管を托されたかぎのかかつたトランクを破壞して中のものを領得する行為等に示された処と同一である。