大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)2188号 判決

よつて記録を調査すると原審は昭和二十五年一月二十五日附川越同仁病院医師小林真太の意見書により被告人の精神状態を心神喪失の情況にあるものと認め、同月二十六日その状態の続いている間公判手続を停止する旨の決定をなし、その後被告人の精神状態につき鑑定その他の診断を行わずして同年四月十五日の公判において被告人に対し有罪の判決を言い渡したことは所論のとおりである。

しかしながら被告人の精神状態を認定するにつき医師の鑑定その他の診断は裁判官の判断を補助するに止まり、その鑑定若しくは診断を経なければこれを認定し得ないものではないことはいうまでもないところである。原審は被告人が勾留執行停止中に変造の千円札を行使して金員を騙取した知能的犯罪を敢行したこと及びこの点に関する被告人の弁解録取書(謄本)の記載に徴し被告人の精神状態は正常に復したものと認め、同年三月三十一日さきになした公判手続停止の決定を取り消し、次いで同年四月八日の第四回公判期日に被告人の陳述を求め、同公判廷における被告人の供述により被告人の精神状態に何らの障碍がないことを確認し、その後の公判廷においても異常がなかつたので同年四月十五日に被告人に対し有罪の判決を言渡したものであつて、記録を精査検討しても原審の右認定に誤はないから、原審の訴訟手続には所論のような違法は存しない。

論旨は理由がない。

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