大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和27年(う)2281号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(判旨)

刑法第六六条が「犯罪ノ情状憫諒ス可キモノハ酌量シテ其刑ヲ減軽スルコトヲ得 と定めた趣意は、法定刑の範囲における処罰が嚴に失する場合においてこれを軽減せんとするにあるのである。尤も、犯人に対する処罰が嚴に過ぎるかどうかということは、各事案につき一切の情状を審究した上、裁判所がその裁量によつて具体的に決定すべき問題であり、その標準を一般的且つ抽象的に確立することは殆んど不可能に属することであるが、同条による減軽をなす場合は諸般の事情に鑑み、法定刑の最低をもつて処断刑とするも、なお、これを重しとする場合でなければならないことは勿論である。しかし、同条は裁判所がその裁量によつてこれが適用の要否を決定すべきものであることは、その規定の文意に徴して明らかであるから、裁判所が法定刑の範囲内における犯人の処罰が重きに失すると認めたのにも拘らず、同条を適用せず犯人を法定刑の範囲内で処罰した場合は、刑訴法第三八一条にいわゆる刑の量定が不当であるとの問題が生ずるに止まり、同法第三八〇条にいわゆる法令の適用に誤があることにはならないものと解すべきである。

(説明)

刑法第六六条の律意は本判決が冐頭に述べているとおりであり判旨はすべて正当と思う。要するに同条により同条を適用して酌量減刑をなす場合は法定刑の最低限を以てもなお重しとする場合であつてこのことは既に大審院判例(昭和七・六・六第二刑判決、判例集第一一卷刑七五六頁)の詳述するとおりである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!