大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)2485号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(爭点)

本件は被告人が歯科医師でないのに昭和二二年三月から昭和二四年八月末迄四百数十名の患者に対し歯科の診療拔歯等をして歯科医業をしたという犯罪であるが、無資格者の歯科医業をすることを禁止する法令は昭和二三年一〇月二六日迄は国民医療法(昭和一七年法律第七〇號)第八条でありその後は現行歯科医師法第一七条である。そこで本件の場合いずれが適用されるか問題となつた。

(判旨)

本件では無免許歯科医業犯として一罪を構成する反覆的行為が旧法たる国民医療法と新法たる歯科医師法の両法下に跨つて行われたわけであるが、かような場合には新旧いずれの法律を適用して被告人を処断すべきか。旧法を廃止した医師法は、その附則第四〇条において、旧法に違反した者の処罰については、なお旧法廃止の後においても、なお、依然として可罰性を失わないわけであるが、すでに古く大審院の判例とする所によれば、「刑法施行前或犯罪に着手したるも、その施行後、これを行い了りたるときは、全部の犯罪行為に対し、その終了当時の法律たる刑法を適用処断すべきものとす」(明治四三年五月一七日判決)、又「被告が単一なる意思の発動に基き、同種の行為を継続したる場合においては、その行為全部が一罪を組成するに過ぎざるを以て、該犯罪の完成前法律に依り刑の変更ありたるときは、その行為全部に対し、新法を適用せざるべからず」(同年一一月二四日判決)、又更に、「刑法施行の前後に亘り連続実行したる数個の行為にして新旧刑法に照し、孰れも犯罪たるにおいては、前後の行為を包括して一罪とし、単に刑法のみを適用すべし」(大正四年三月二日判決)というのであるから、これらの判例の趣旨とする所に従うときは、被告人の原判示所為たるや、まさに、新法たる歯科医師法を適用して処断すべきものである。しかも、この理を否定し、これと異つた措置に出づべき根拠のあるを見ないので、原判決が、その判示事実に対し、所論の如く歯科医師法第一七条第二九条第一項第一号を適用して被告人を処断したのは、まことに正当であつて、原判決の右措置は毫も違法を以て目すべきものではない。

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