東京高等裁判所 昭和27年(う)2697号 判決
被告人 加藤竹吉・中野敏治
〔抄 録〕
論旨第二点について。
原審において被告人甲及び相被告人乙の弁護人として共に各自弁護士Aを選任し同弁護人において両被告人のため必要な弁護をしたことは記録上明らかである。然しながら所論刑事訴訟規則第二十九条第二項は、その第一項を受け、いわゆる国選弁護人に関する規定であり、被告人が自らの意思で選任する弁護人についての定ではないのであるから、たとえ、利害相反する被告人であつてもそれを承知して同一の弁護人を選任する以上、法律上それを不当として裁判所においてそのいずれか一方の弁護を辞任させる権限乃至義務はないものであり、且つこれを禁止する理由は訴訟法上毫も存しないのみならず、憲法或は弁護士法上もこれを禁止する趣旨の規定はないのである。従つてこの点に関する原審の措置は、何ら所論のように違法を以つて目すべきものはないから論旨は理由がない。