大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)2750号 判決

所論原判示第四、同第五の(一)乃至(十一)、同第六の(一)乃至(五)、同第七の(一)乃至(十一)、同第十五の各事実摘示を見るに、所論横領株券又は同金員の占有内容、その横領の態様等の判示方につき聊か明確を欠く嫌いがあり、又所論犯行場所の記載を欠如することは論旨指摘の通りであるけれども、右各判示事実をその関係証拠、殊に被告人の司法警察員に対する第二回、第四回、第五回各供述調書の記載と対照するときは、所論原判示各横領株券は被告人が原判示大越証券株式会社において証券の売買斡旋等の業務に従事中、原判示各被害者より名義書換等のため又は謂ゆるローン取引の担保として或は単なる寄託の趣旨において預つたものであり、原判示各横領金員は原判示各株式の買付代金又は払込株金として預つたものであるところ、被告人はこれらを保管中右各株券を勝手に他へ売却し、又は他から金融を受けるための担保に供し、右各金員を擅に同会社の経営資金等に充当費消したものであることを認めることができる。

従つて原判決が被告人の所論原判示各所為を横領又は業務上横領として処断したのは結局正当に帰するのである。

論旨は大蔵大臣の免許を受けた証券会社の業務の範囲内において保管証券を他へ流用することは商慣習上許容せられた正当業務である旨主張するけれども、前叙の如く名義書換等のため又は謂ゆるローン取引の担保として或は単なる寄託を受けて預つた株券を依頼者の承諾も得ないで勝手に他へ売却し又は他から金融を受けるための担保に供するが如きは明らかに委託の本旨に背く権限外の行為であると云わなければならない。それ故仮に同業者間に所論のような商慣習が存するとしても、それは違法の慣習と云うの外はなく、固よりこれによつて被告人の所論罪責を免れしめるものではない。

なお、所論「犯罪の場所」は謂ゆる「罪となるべき事実」そのものではないから、特にこれが刑罰法規適用の当否を判定するにつき必要ある場合の外は、その記載を欠いたからといつて、直ちに判決に理由不備の違法があるとは云えない。その他記録を精査検討しても原判決には所論のように事実誤認の違法があるとは思料できないから論旨は凡て理由がない。

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